※この記事は一般的な条文解説で、宅建等の資格試験の範囲を超えた内容も含みます。当サイトの記事が読みやすいと感じた方は、当サイトと資格試験向け教材の関係をご覧下さい。
民法922条(限定承認)
【解説】
この「限定承認」という言葉は、ご存知の方も多いかと思いますが、相続人が「相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して、相続の承認をする」ことを言います。
相続というのは、簡単にいうと、被相続人の財産がプラスであれば、相続を承認し、マイナスであれば、相続の放棄をすればいいわけです。
ところが、被相続人の財産がプラスかマイナスか分からない場合もあります。そういうときに、相続の承認か放棄かのどちらかに決めろというのは、ちょっとギャンブルです。そこで、「相続によって得た財産の限度においてのみ」被相続人の債務等を弁済すればいいというのが、限定承認です。
難しい言葉で言うと、相続財産と相続人の固有財産を分離し、相続財産を限度とする有限責任を負う相続の承認の仕方ということになります。
意味は分かりますか?
被相続人の財産が1億円あったとします。もし、被相続人の負債が8,000万円だったとすると、2,000万円のプラスになりますので、この2,000万円を相続分にしたがって相続人が分ければいいわけです。
逆に、被相続人の負債が1億2,000万円だったとすると、マイナス2,000万円になりますので、1億円の限度で1億2,000万円の負債を返済すればいいので、相続人は最悪でもゼロで済むというのが限定承認です。ということは、この1億2,000万円の債権者たちは債権を全額回収することはできなくなりますね。