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民法900条(法定相続分)

【解説】

1.相続分~第一順位の相続人の場合

相続人を確定すると、次はその相続人にどれくらいの財産が相続されるのかという相続分を確定させる必要があります。

まず、第一順位の相続人の場合、つまり配偶者+子という場合の相続分ですが、この場合は配偶者が1/2、子が1/2です。配偶者が2人いるということはないので、配偶者は一人で1/2です。子は当然複数いる場合がありますので、1/2を人数分で均等に割ります。

この子の相続分に関しては、平成25年12月11日に法改正があり(第4号)、従来は非嫡出子の相続分は嫡出子の相続分の1/2でしたが、現在では、非嫡出子の相続分も、嫡出子の相続分も同じです。

嫡出子と非嫡出子は、第一順位の相続人であるという相続の「順位」に関しても、「相続分」に関しても同じになります。

ちょっとややこしい例ですが、これが分かればこのあたりは大丈夫でしょう。Aには配偶者Bがいて、Bとの間に子Cがいます。Aには前妻Dがいて、Dとの婚姻中に子Eが生まれています。それとは別に、Aは婚姻していないFとの間に子Gがいます。Aが死亡したときに、Aの財産を誰がどれだけ相続するでしょうか。

相続人を確定しましょう。まず現在の配偶者Bは、相続人です。

その子Cも相続人。

前妻というのは、現在の配偶者ではありませんので、相続人ではありません。

ただ、Eは間違いなくAの子供ですし、Dとの婚姻中に生まれている子供ですので、「嫡出子」です。

Fは、Aとは婚姻していませんので、法律上の配偶者ではなく、相続人にはなりません。

しかし、GはAの子供であることは間違いないので相続人になりますが、婚姻していないFとの間の子供ですので、「非嫡出子」になります。

以上で、相続人はB・C・E・Gと確定します。

次は、相続分です。まず、Bは配偶者で1/2で確定。

あとは、残りの1/2をC・E・Gで均等に分けますので、C・E・Gともに1/6ずつの相続分になります。

ちなみに、試験の問題はこのような割合で問われることもありますが、遺産が○○万円ある、というふうに金額で聞いてくることもあります。そのときはこの割合を掛けるだけです。

※平成25年12月11日改正以前の解説

2.相続分~第二順位の相続人の場合

第二順位の相続人は、配偶者+直系尊属のパターンです。

この相続分は、配偶者2/3、直系尊属1/3の割合で分けます。配偶者の割合が増えるんですよね。

そして、直系尊属の相続分は、たとえば両親が健在で2人いる場合は、1/3を均等に分けます。つまり、1/6ずつになります。

3.相続分~第三順位の相続人の場合

第三順位の相続人は、配偶者+兄弟姉妹のパターンです。

この場合の相続分は、配偶者3/4、兄弟姉妹1/4の割合で分けます。配偶者の割合がさらに増えます。

そして、今までと同様、兄弟姉妹が複数いる場合は、この1/4を人数分で均等に分けます。

以上で相続分の説明は終わりですが、相続分は覚えやすい数字なので、覚えるのにそれほど苦労しないと思います。第一順位→第二順位→第三順位となるにつれ、1/2→1/3→1/4と分母の数字が2→3→4と大きくなるだけです。配偶者の取り分が大きくなっていくわけですね。