※この記事は一般的な条文解説で、宅建等の資格試験の範囲を超えた内容も含みます。当サイトの記事が読みやすいと感じた方は、当サイトと資格試験向け教材の関係をご覧下さい。
民法890条(配偶者の相続権)
【解説】
配偶者の相続権についてですが、配偶者の意味は、分かってくれると思います。念のため、婚姻した相手方、つまり夫から見て妻、妻から見て夫を指します。
ちなみにこの「配偶者」というのは、厳格に法律的な配偶者でないといけません。俗な言い方をすると、役所に届出をした配偶者のみが、相続人になります。いわゆる内縁関係、つまり事実上夫婦と同様の生活をしているが、役所への届け出だけ欠けているような夫婦は、相互に相続権がありません。こういう場合は「遺言」というのが非常に重要になってくるわけです。遺言をしておかないと、内縁の妻等は相続できなくなってしまいます。
そして、この配偶者は、常に相続人になります。この「常に」相続人になるという意味は、相続人というのは、配偶者+「アルファ」の形で決まります。
たとえば、配偶者+子供とか、配偶者+直系尊属とかいう具合です。
配偶者は常に相続人で、それに加えてもう一人(複数いる場合もあるのでもう一組というべきか)相続人が存在する形になります。
もちろん、配偶者がいない場合は、その残りの子供とか、直系尊属のみが相続人になります。
配偶者については、もう一点。「前妻」というのは相続権がありません。相続できる配偶者というのは、被相続人が死亡した時の配偶者に限ります。