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民法718条(動物の占有者等の責任)
【解説】
本条は、動物の占有者又は管理者に一般不法行為責任より重い責任を課した規定です。すなわち、一般不法行為においては、過失の立証責任は、被害者側にありますが、本条においては、「動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をした」ことの立証責任は、動物占有者側にあります。
本条においては、動物の「占有者」又は「管理者」の責任が規定されており、工作物責任のように「所有者」又は占有者とされていません。これは、動物は工作物と違って、人の作ったものではないので、管理者の責任を問うのが妥当だということから、所有者が外されたようです。
次に本条の責任の性質ですが、危険責任を根拠としています。危険責任というのは、危険を発生させるものを管理しているものは、そこから生じた損害について責任を負うべきであるという考えです。
次に本条の「動物」ですが、これは特に種類は問いません。たとえ野生の動物でも人の支配下にあれば含まれるとされます。
「他人に加えた損害」というのは、直接人体に加えた損害(たとえば、人を噛む)だけではなく、他人の所有物に加えた損害(たとえば、物を壊す)も含まれますし、生活妨害(たとえば、騒音や臭気)も含まれます。