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民法707条(他人の債務の弁済)

【解説】

債務者でない者が、他人の債務であることを知って弁済すれば、それは第三者の弁済として有効なものとなります。

しかし、他人の債務を自己の債務と誤信して弁済してしまった場合は、有効な第三者の弁済とはいえないので、債務は消滅しないことになります。したがって、債権者は不当に利得したことになるので、弁済者から債権者に対して不当利得の返還請求をすることが可能になるはずです。

しかし、債権者が有効な第三者の弁済によって債権が消滅したと誤信すれば、「証書を滅失させ若しくは損傷し、担保を放棄し、又は時効」などで、債権を失ったり、債権の行使に著しい困難が生じ不測の損害を被ります。

そこで、債権者が善意で債権証書を滅失させる等の事情があれば、弁済者からの返還請求を認めないこととしたのが本条です(第1項)。

そして、第1項により弁済者からの返還請求が否定されると、債権は消滅することになり、債務者は債務を免れることになってしまうので、弁済者から債務者に対して求償権の行使を認めたのが第2項です。