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民法689条(終身定期金契約)
【解説】
終身定期金契約は、当事者の一方(定期金債務者)が、自己、相手方(定期金債権者)又は第三者の死亡に至るまで、定期に金銭その他の物(代替物)を相手方又は第三者に給付する契約です。
たとえば、使用者が長年勤続した被用者に対して、被用者の死亡まで毎月一定金額ずつを給付するような場合です。
今の具体例で分かりますように、この契約は定期金債権者の老後の保障として機能することが求められていましたが、現実にはこれらは公的年金などでまかなわれていますので、民法のこの契約はほとんど利用されていません。
この終身定期金契約は、対価が支払われる場合と支払われない場合がありますが、対価が支払われる場合は双務・有償契約となり、対価が支払われない場合は、片務・無償契約となります。
そして、終身定期金債権は、基本権としての終身定期金債権と、支分権としての終身定期金債権に分かれ、両者は区別されます。
基本権は、終身定期金契約に基づいて、当事者の一方に対して定期に金銭その他の代替物を給付することを目的とすることを内容とする包括的な債権です。
支分権は、毎期ごとに約定された給付を請求できる権利ということになります。そして、この支分権は独立して消滅時効にかかります。