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民法681条(脱退した組合員の持分の払戻し)

【解説】

1.脱退した組合の持分の払戻しの標準時(第1項・第3項)

本条は、脱退した組合員と他の組合員との間の清算関係について規定しています。つまり、組合員が脱退すると組合員としての権利や出資義務は消滅しますので、組合財産の上に有していた持分を払い戻す必要が生じます。そこで、払戻しをする際の標準時や払戻し方法を規定しています。

まず、第1項では、脱退した組合員と他の組合員との間の計算の標準時は、「脱退の時」としています。これは、任意・非任意のいずれでも、脱退には遡及効がないので、脱退時を基準とすべきだからです。

ただし、脱退の時にまだ完了していない事項についてまで、脱退時を基準に計算をすると不都合なので、その完了後に計算をすることができるとしています。

2.払戻し方法(第2項)

第2項では、脱退した組合員に対して、その出資の種類を問わず、金銭で払い戻すことができる旨を規定しています。これは、現物での払戻しは、組合の事業の継続に支障が生ずるおそれがあるからです。もちろん、「金銭で払い戻すことが『できる』」ということですから、組合の事業に支障がなければ、出資した現物で払い戻すこともできます。

3.脱退した組合員と第三者の関係

脱退した組合員と第三者の関係については、民法に規定がありません。これについては、組合債務が脱退前に生じたか、脱退後に生じたかで分けて考えます。

脱退後に生じた組合債務については、脱退した組合員は、すでに組合員でない以上、責任を負う必要はありません。

脱退前に生じた組合債務については、脱退組合員もなお個人的責任を負う必要があります。このような債務は、債務が生じたときの組合員が負担する債務と考えられ、脱退したからといって債務を免れる理由はないからです。ただし、脱退に際し、このような債務を組合財産のマイナスとして脱退組合員の持分を計算していた場合には、組合の債務と考えるべきで、脱退組合員は責任はないものと考えられます。もし、脱退組合員が組合債務者に弁済したのであれば、民法707条(他人の債務の弁済)の規定により、組合に求償権を行使することができます。