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民法675条(組合員に対する組合の債権者の権利の行使)
【解説】
組合財産というのは、一応組合員の個人財産から独立した団体財産に帰属すると考えられます。したがって、組合債務は、組合財産を引き当てとします。
しかし、だからといって組合員は個人財産をもって一切責任を負わなくてよいかというと、そうではなく個人財産も引き当てとなります。ただ、各組合員は組合契約で定めた割合で、その定めがなければ出資額の割合(第674条)で損失を負担することになります。つまり、各組合員の連帯責任(全額)ではありません。しかも、組合財産で弁済されないときに弁済すればよいという補充的な責任ではなく、第1次的な責任です。
つまり、組合員個人の責任は、分割・無限・第1次的な責任です。
そして、組合員個人の責任と組合財産での責任は併存することになります。
このように、組合の債権者は組合員の個人財産に対しても責任を追及することができますが、それは組合契約で定めた割合又は出資額の割合です。しかし、組合契約で定めた約款や出資額は契約当事者間のものであり、第三者に公示されるわけではありません。
そこで、本条は、組合の債権者が、組合員の損失分担の割合を知らなかったときは、各組合員に対して等しい割合でその権利を行使することができる旨を定めています。