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民法670条(業務の執行の方法)
【解説】
1.組合の業務執行の方法(第1項)
本条は、組合の業務執行の意思決定方法について規定しています。
まず、基本的に組合の業務執行は、組合員の過半数で決定します。これは、組合の設立行為(組合契約の締結)は、当然のことながら全員一致でなされることから考えますと、組合に団体性を認めているといえます。
この規定の「過半数」は、「組合員」の過半数、すなわち、頭数で決めます。もちろん、組合契約で頭数ではなく、出資額により過半数と定めることも可能です。
2.業務執行者
第1項で、組合の業務執行は、組合員の過半数で決めますが、組合契約で業務執行者を定めることもできます。業務執行者は、一部の組合員でもよいし、組合員以外の第三者でもかまいません。
このように業務執行者を定めることができることを前提に、第2項で業務執行者が数人いるときは、組合の業務執行を、その過半数で決する旨を定めています。
3.組合員の単独執行(第3項)
第1項及び第2項で、組合の業務執行は、組合員の過半数や、業務執行者の過半数で決定することになっています。
しかし、業務執行者がいるような場合でも、組合の「常務」に関しては、各組合員又は各業務執行者が単独で行うことができる旨を定めたのが第3項です。
「常務」というのは、日常的に行われる通常の業務のことです。
日常反復して行われる軽微な業務(たとえば、漁業組合が漁獲した魚を売却)は、いちいち決議を行うまでもなく、組合員相互の信頼に任せた方がいいからです。
しかし、そのような行為が専断的になされる危険もあるでしょうから、その完了前に他の組合員又は業務執行者が異議を述べることができるようにしました。