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民法646条(受任者による受取物の引渡し等)

【解説】

1.受任者による受取物の引渡し(第1項)

受任者は、委任事務を処理するに当たって受け取った金銭その他の物を委任者に引き渡さなければいけません。

これは、当たり前で、土地の売却の依頼を受けた受任者が、無事土地を売却して売買代金を受け取った場合に、そのお金をそのまま自分の懐に入れたのでは横領です。

2.受任者の権利の移転義務(第2項)

受任者が代理人も有するときは、その行為の効果は直接本人に帰属するから問題はありません。(→委任と代理の関係については、民法643条(委任)参照)

ただ、受任者が自己の名で事務を処理したときには、一旦は行為の効果は受任者に帰属します。したがって、受任者は自己の名で取得した権利を委任者に移転する必要があるわけです。

たとえば、不動産の購入に関する委任契約であった場合は、受任者は自己に帰属した不動産の登記名義を委任者に移転する必要があるわけです。