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民法634条(請負人の担保責任)

【解説】

1.請負人の担保責任とは

請負人の担保責任というのは、売買の場合の売主の担保責任と同じ話です。請負人が欠陥のある仕事をした場合に、注文者が請負人に対してその責任を追及するのが、請負人の担保責任です。

この請負人の担保責任も、売買の場合と同様、請負人の無過失責任になります。

また、売買の場合の売主の担保責任では、売主は、解除・損害賠償・代金減額の責任を負わされるということでしたが、請負の場合は、解除・損害賠償というのは、売買と同じですが、代金減額の代わりに瑕疵修補請求権というのが出てきます。

2.瑕疵修補請求権(第1項)

請負人の担保責任の内容として、まず瑕疵修補請求権から説明していきましょう。これは、たとえば請負人が建築した建物に瑕疵がある場合に、その修補、つまり修理を請求する権利です。請負だから、修理という話が出てきます。

第1項但書について、仕事の目的物に瑕疵があるわけですから、基本的には修補請求ができますが、重要でない瑕疵のために、相当な費用をかけて修補をしないといけないというのは、請負人にとっては酷です。したがって、このような内容が規定されています。このような場合は、損害賠償で対応しろ、ということです。

3.損害賠償請求権(第2項)

損害賠償請求権については、まず「瑕疵の修補に代えて」損害賠償を請求することができます。つまり、損害賠償請求権のみ行使するということですが、瑕疵修補請求が可能な場合でも、損害賠償請求権のみを行使してもかまいません。注文者がそれで満足ならば、あるいは請負人の腕が信用できないなら、お金で賠償してもらって、他の業者に修理を依頼すればいいわけです。

また、「修補とともに」損害賠償を請求することもできます。瑕疵が原因で注文者に損害が出る場合もありますので、そのときは瑕疵修補請求権とともに、損害賠償を請求することもできます。

要するにこの瑕疵修補請求権と損害賠償請求権は、どういう組み合わせでもかまわないということです。瑕疵修補請求権のみ、損害賠償のみ、瑕疵修補請求権+損害賠償のどれでもいいということです。