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民法632条(請負)

【解説】

「請負」という言葉は、比較的みなさんも馴染みのある言葉ではないかと思います。「仕事を請け負う」などと普通に使ったりすることも多いかと思います。この請負契約で典型的なのは、建築請負契約です。

この請負契約の法律的に正確な定義は、「当事者の一方がある『仕事を完成』することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。」というものです。

委任契約も請負契約も、人のために仕事をする(労務提供型の契約)という点では共通していますが、大きな違いは、委任契約は「当事者の信頼関係」が重要であるのに対して、請負契約は「仕事の完成」が重要であるということです。

つまり、請負契約は「仕事の完成」という結果が重要です。仕事を請け負うということは、仕事を完成させて、依頼者に渡すことです。

ここで、用語を説明しておきますと、依頼した方を「注文者」、依頼を受けた方を「請負人」といいます。

以上のように、委任と請負は、当事者の信頼関係を基礎にするか、仕事の完成が目的なのかにより、さまざまな違いが出てきます。

たとえば、委任は当事者の信頼関係が重要だということから、仕事をするにあたって自己服務義務というのがあり、復委任が原則的に禁止されていました。

これに対して、請負は「仕事を完成」させればいいわけですから、必ずしも請負人自身が仕事をする必要はありません。そこで、請負においては、下請負の自由という考え方が出てきます。

なお、報酬については、委任契約は無償の場合と有償の場合がありましたが、請負については、本条で「報酬を支払うことを約する」という言葉から分かりますように、有償のみとなっています。