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民法506条(相殺の方法及び効力)

【解説】

1.相殺の方法

相殺は、当事者の一方から相手方に対する意思表示によって行います。つまり、単独行為です。

次に、相殺の意思表示には、条件・期限を付けることはできません。相殺の意思表示に条件を付けた場合、相殺というのは、一方的な意思表示で効果が生じるものですから、相手方の地位を不安定にします。

また、相殺に期限を付けても無意味です。後で説明しますが、相殺には遡及効というのがあるので、期限を付けるか付けないかにかかわらず、どのみち遡及して効果が生じます。

2.相殺の効果

次は、相殺の効果です。相殺というのは、遡及効があります。つまり、遡って債務の消滅という効果が生じるということです。

今、AとBの債権の弁済期がともに、4月1日だったとします。これで4月1日に相殺適状になったわけです。そこで、Aが4月5日に相殺の意思表示をしました。相殺の効果は、双方の債務の消滅ですから、4月5日から双方の債務が消滅するのかというと、そうでありません。相殺適状になった時期(4月1日)から双方の債務が消滅します、という意味です。これは、相殺適状になったときに、当事者は清算されたんだという気持を持つからです。