※この記事は一般的な条文解説で、宅建等の資格試験の範囲を超えた内容も含みます。当サイトの記事が読みやすいと感じた方は、当サイトと資格試験向け教材の関係をご覧下さい。

民法480条(受取証書の持参人に対する弁済)

【解説】

弁済の受領権限を有する者以外の者に対して弁済した場合に、その弁済が有効になる場合として、本条の「受取証書の持参人に対する弁済」があります。

「受取証書」というのは、簡単にいうと領収書のこと。われわれは領収書を切ってくれる人には、比較的安心してお金を支払います。お店に行って、領収書を下さいというと、店員さんは領収書を切ってくれるはずです。つまり、店員さんは受取証書の持参人(領収書を持っている人)です。

このように債権者の領収書を持っている人に対して、「善意無過失」でお金を支払った場合、その弁済は有効になります。

これに関連して、もう一点覚えて下さい。弁済と受取証書の交付は同時履行の関係にあります。つまり、弁済者は「領収書を交付してくれなければ、お金を支払いませんよ」と言えるわけです。このときに、領収書を交付してくれなければ、債務者は弁済しなければいいわけです。弁済してなくても、弁済しないことは違法ではないので、履行遅滞の責任を負いません。