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民法462条(委託を受けない保証人の求償権)
【解説】
1.委託を受けない保証人の求償権
保証契約というのは、債権者(主たる債務者ではない)と保証人の間の契約であるから、主たる債務者の委託がなくても、また、主たる債務者の意思に反しても保証人になることができます。
そして、委託を受けない保証人といえども、主たる債務者に代わって弁済した場合は、それは事務管理の費用といえるので、事務管理の規定にしたがってその費用の償還を請求することができます(702条)。
しかし、保証人と主たる債務者という特殊な関係にあるので、特別の規定を置いたのが本条です。
なお、本条第1項で「弁済をし、その他自己の財産をもって主たる債務者にその債務を免れさせたとき」となっています。つまり、弁済等をした場合の規定という形になっているわけです。
これは、委託を受けない保証人の場合には、事前の求償権がないということを意味しています。
2.求償権の範囲
この委託を受けない保証人の求償権の範囲については、主たる債務者の意思に反して保証をした者とそうでない者とで求償の範囲が異なっています。
①主たる債務者の意思に反しないで保証をした者(第1項)
この場合は、「債務の消滅」の当時利益を受けた限度で保証人に償還しなければならない。
したがって、保証人が弁済等をした日以後の法定利息や損害賠償は請求することはできない。
②主たる債務者の意思に反して保証をした者(第2項)
この場合は、さらに求償の範囲が狭くなって、主たる債務者が「求償」を受けた当時利益を受けている限度においてのみ求償できるにすぎません。