※この記事は一般的な条文解説で、宅建等の資格試験の範囲を超えた内容も含みます。当サイトの記事が読みやすいと感じた方は、当サイトと資格試験向け教材の関係をご覧下さい。

民法450条(保証人の要件)

【解説】

保証人の資格については、基本的に特に制限はありません。つまり、保証人というのは基本的に誰がなってもかまいません。

ところが、この保証人の資格について一定の制限が出てくる場合があります。それは、債務者が保証人を立てる義務を負う場合です。

この場合、保証人を立てることが債務者の義務なわけですから、保証人として意味のある人でないといけません。具体的には、以下の2つを満たす保証人であることが必要です。

①行為能力者であること。

②弁済をする資力を有すること。

①も②も説明の必要がないくらい当たり前のことだと思いますが、念のため、①の行為能力者であること、というのは制限能力者でないということですが、保証人も保証契約を締結する以上、当然でしょう。

②の弁済の資力についても、お金のない人を保証人にしても仕方がありませんので、当然だと思います。

この保証人の資格に関しては、気を付けてほしい点があります。それは、保証人が「弁済の資力」を欠くに至ったときは、債権者は、前述の①と②の要件を満たす者に代えることを請求することができる、という点です(第2項)。

お金のない人は保証人として意味はありませんので、これはよく理解できます。気を付けてほしいのは、「行為能力者であること」という要件が、途中で欠けても、別の保証人を要求できないことです。

これは、分かりますか?行為能力者を、保証人の要件にしているのは、保証契約が取り消されると困るからです。ところが、保証契約を締結したときに行為能力者であれば、その後行為能力を喪失しても、保証契約は取り消されるおそれはありません。お金さえ持っていれば問題ないわけです。

以上の保証人の資格に関して述べたことは、すべて債権者が保証人を指名した場合には、適用されません(第3項)。このような場合にまで、債権者を保証する必要はないからです。