※この記事は一般的な条文解説で、宅建等の資格試験の範囲を超えた内容も含みます。当サイトの記事が読みやすいと感じた方は、当サイトと資格試験向け教材の関係をご覧下さい。

民法447条(保証債務の範囲)

【解説】

1.保証債務の範囲

本条は、保証債務の範囲について規定されたもので、保証債務は「主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する」ことになります。抵当権のように、利息は「満期となる2年分」というような制限はありません。

普通、保証人になった場合、元本だけ保証ということはないので、利息なども含めて保証しているのが、当事者の合理的意思だと考えられるからです。

2.保証債務のみの違約金又は損害賠償額

ところで、本条第2項は、「保証人は、その保証債務についてのみ、違約金又は損害賠償の額を約定することができる。」という規定があります。

このように保証債務についてのみ違約金などを定めると、結果として主たる債務より保証債務の方が重くなる可能性があります。

これは、民法448条の「保証人の負担が債務の目的又は態様において主たる債務より重いときは、これを主たる債務の限度に減縮する。」という付従性の規定と整合性がないのではないかとも思われます。

しかし、これは付従性とは関係ありません。保証契約は、債権者(主たる債務者ではなく)と保証人が締結するものだという話をしました。この保証契約について、債権者と保証人が話し合った上、その履行を確実にするために、違約金などを定めることができるという規定であって、付従性の問題ではないと考えて下さい。