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民法446条(保証人の責任等)

【解説】

1.保証とは

保証契約は、債務が複数ありますが、連帯債務と異なり、債務に主従がある場合です。

上図を見ながら登場人物を確認しましょう。まず、AがBにお金を貸すとしましょう。Aが債権者、Bが債務者ですが、この債務は保証債務に対して「主たる債務」、略して「主債務」ということもあります。それに合わせて、Bも「主たる債務者」といいます。

ちなみに、保証というのは、「人的担保」という表現が使われることもありますが、担保の一種です。担保といえば代表選手は、抵当権ですが、保証における主たる債務は、抵当権における被担保債権にあたります。

そして、当然Cは「保証人」になります。この保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負うことになります。つまり、保証というのは、主従の関係があります。あくまで、保証債務は、主たる債務者が「履行しない」ときに、履行すればいいわけです。これを「補充性」といいます。

2.保証契約

この保証については、確認してもらいたいことがあります。普通、保証というと、最初に触れましたように、主たる債務者から頼まれて保証人になるというパターンがほとんどかと思いますが、保証契約自体は、「債権者」と保証人が締結するということです。

上図にもありますように、主たる債務者が、Cに対して保証人になってもらうよう頼むのは、保証委託契約というのであって、保証契約そのものではありません。

Cは、Bから頼まれると、債権者Aに対して、「Bが支払えないときは、私が代わって支払います。」と言って締結するのが保証契約です。これは誤解しやすい点ですが、一つのポイントになります。

実は、保証人は、主たる債務者の意思に反しても保証人になることができるとされます。これは意外な感じがしますが、今説明したように、保証契約は、債権者と保証人が締結するんだ、という点を理解していれば納得できます。Aは、Bにお金を貸すにあたって、お金を返してくれるか不安なので、Bの友人Cに対して、保証人になってくれと頼んだとします。Bが「私一人で大丈夫だ!」と言っているとしても、CはAの希望を聞き入れて保証人になれるわけです。

それと、保証契約でもう一つ注意してほしいのは、保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じないとされている点です。これは最近、法改正によってできた規定ですが、覚えておいて下さい。

こういう契約は、民法の中では非常に珍しいです。契約というのは、民法上では、たいてい口頭の約束でも成立するとされています。しかし、保証契約は、口頭の合意だけでは成立しません。