※この記事は一般的な条文解説で、宅建等の資格試験の範囲を超えた内容も含みます。当サイトの記事が読みやすいと感じた方は、当サイトと資格試験向け教材の関係をご覧下さい。

民法430条(不可分債務)

【解説】

不可分債務というのは、数人の債務者が、一個の不可分給付を目的とする債務を負担する場合の債務をいいます。

たとえば、共有物を譲渡した場合の引渡債務などは、給付が性質上不可分であるものとして不可分債務になります。ただ、金銭債務であっても、全額給付義務を負う旨の特約がある場合は、意思表示による不可分債務となります。

その他に、管理費の支払債務、共同賃借人の賃借物返還債務(大判大7.3.19)、立木所有者の立木引渡債務(大判大12.2.23)、不動産の共同相続人の不動産譲渡債務(大判昭10.11.22)があります。

その他にも、社会常識、取引通念によって多数の者の債務が、「不可分的に受ける利益」の対価であるときは、不可分債務になります。たとえば、賃借人が死亡し、共同相続人が賃借権を相続した場合の共同賃借人の家賃債務(大判大11.11.24)、共同賃借人の賃借物返還義務不履行による損害賠償債務(大判昭8.7.29)などである。

この不可分債務については、「前条の規定及び次款(連帯債務)の規定(第434条から第440条までの規定を除く。)」が準用されています。ただ、連帯債務の規定については、「第434条から第440条までの規定を除く」とされており、準用されたり、準用されなかったりとややこしいので、下記に一覧表にまとめておきます。