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民法425条(詐害行為の取消しの効果)

【解説】

詐害行為取消権が行使されますと、この「取消しは、すべての債権者の利益のためにその効力を生ずる。」と民法に規定されています。

つまり、詐害行為取消権は、債権者があくまで、債務者が失った財産を債務者のところに戻すことによって、債務者の財産を確保し、弁済を受けられるようにする制度です。

詐害行為取消権を行使したことによって、債務者が取戻した財産を、取消権を行使した債権者が独り占めするわけにはいきません。

つまり、詐害行為取消権を行使した債権者が優先弁済権を有するわけではなく、総債権者の間で平等に分配することになります。

したがって、債権者は受益者に、直接自分に対して当該不動産の所有権移転登記をするよう求めることはできません。

しかし、取り戻した物が金銭である場合、直接取消債権者に引き渡すように請求できると解されており(判例)、これを受け取った取消債権者は、この金銭の債務者に対する返還債務と、取消債権者の本来の債権が相殺適状にあれば相殺することができるので、事実上優先弁済を受ける結果となります(判例)。