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民法419条(金銭債務の特則)
【解説】
1.金銭債務の特則~損害賠償額(第1項、第2項)
金銭債務というのは、いくつかの点で非常に特殊な扱いがなされます。
その一つが、金銭債務の不履行における損害賠償額は、法定利率(年5分、5%)になり、これについては債権者は損害の証明は不要とされます。
これは、お金というのは一定の利息を生むものだ、という考えに基づいていると思われます。
ちなみに、商事法定利率は年6分となっています。
2.債務者の帰責事由(第3項)
次に、債務不履行には債務者の帰責事由が必要だということだったと思いますが、金銭債務については債務者の帰責事由は不要です。
つまり、結果として期日に債務が履行されなかったならば、履行できなかったのが、たとえ不可抗力であったとしても、それを理由にすることはできず、履行遅滞になるということです。
また、金銭債務には履行不能というものがありません。
金銭債務というのは、要するにお金を払うことですから、「お金は何とかすれば払えるはずだ!」という考えです。債務者の手元にお金がなくても、世の中からお金がなくなるわけではないので、借りてでも払えばいいということです。実際には、債務者が金策に走っても、誰もお金を貸してくれないという場合もあるでしょう。しかし、世の中にお金がある以上、「不能」ということはない、ということです。
要するに、金銭債務について履行不能がないという点と、債務者の帰責事由が不要だという点は、とにかくお金については何とか履行できるはずだという考えがあると思われます。