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民法398条の13(根抵当権の一部譲渡)

【解説】

1.根抵当権の一部譲渡

根抵当権の一部譲渡というのは、分割譲渡のように根抵当権の極度額を2つに分割することなく、根抵当権の一部を譲渡することによって、譲渡人と譲受人が根抵当権を準共有するというものです。

A=極度額1,000万円の根抵当権者
B=被担保債権の債務者、根抵当権設定者

上記の場合に、極度額1,000万円を分割せずに、譲渡人Aと譲受人Cで極度額1,000万円の根抵当権を準共有します。

この一部譲渡の効果については、次条の398条の14に規定があります。

2.分割譲渡と一部譲渡の違い

この分割譲渡と一部譲渡の違いというのは、抽象的には極度額1,000万円を2つの枠に分けて譲渡するのか、一つの枠のままで準共有するかの違いになりますが、具体的な違いがちょっと分かりにくいという人も多いかと思います。

上記の例で、Aが根抵当権をCに分割譲渡(A=極度額600万円、C=極度額400万円)又は一部譲渡した場合で、AとCの被担保債権額が、Aは500万円、Bも500万円で確定したとします。競売代金は、分かりやすく1,000万円とします。

分割譲渡の場合は、A=500万円、C=400万円
一部譲渡の場合は、A=500万円、C=500万円

という違いになります。

つまり、Aはもともと被担保債権額が500万円ですので、分割譲渡でも一部譲渡でも競売代金から500万円の配当を受けますが、Cについては、分割譲渡では極度額400万円の枠しか譲り受けていませんので、競売代金からの配当は400万円が限界ですが、一部譲渡では、極度額1,000万円の枠の範囲にAもCも両方が入っていますので、Cは500万円までは配当を受けることが可能です。