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民法387条(抵当権者の同意の登記がある場合の賃貸借の対抗力)

【解説】

抵当権設定後の賃借権は、抵当権者に対抗することはできません。

しかし、すべての場合に抵当権者が抵当権設定後の賃借権の消滅を望むとは限りません。

たとえば、抵当不動産が、賃貸ビルのような収益物件である場合は、むしろテナントで埋まっているビルの方が価値があるという場合があります。

そこで、抵当権者全員の同意があれば、賃借権に対抗力を付与するというのがこの制度です。

「登記をした賃貸借は、その登記前に登記をした抵当権を有するすべての者が同意をし、かつ、その同意の登記があるときは、その同意をした抵当権者に対抗することができる。」

このポイントは、まず賃貸借について「登記」がなされているという点です。後に借地借家法で勉強しますが、借地借家法上の対抗要件(「引渡し」や「借地上の登記された建物」)ではダメです。

また、抵当権者の「すべて」の同意がいるという点と、その「同意の登記」というのが必要です。

ちなみに、この制度の適用があるのは、「建物」だけに限定されず、「土地」にも適用されます。