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民法375条(抵当権の被担保債権の範囲)

【解説】

1.抵当権の被担保債権の範囲

銀行が、ある人に1億円を貸し付け、その担保としてその人の不動産に抵当権を設定しました。ところが、その人は借金を返済することができませんでした。銀行は、抵当権を設定した不動産について抵当権を実行し、競売をしました。

銀行としては、競売代金から1億円を回収できることは問題ありません。

ただ、お金を貸すときは、普通利息を取ります。この利息分も含めて競売代金から回収できるのか、ということです。

基本的には、競売代金から利息も含めて回収することができます。

ただ、これには制限があって、利息は全額ではなく、「最後の2年分」だけ抵当権を行使できる、つまり競売代金から回収できるということです。

その趣旨は、あまり多くの利息まで、競売代金から回収してしまうと、後順位抵当権者等の利害関係人の取り分が減りすぎてしまうということです。

ということは、後順位抵当権者や一般債権者などの利害関係人がいないときは、最後の2年分に制限されることなく抵当権を行使することができます。

2.抵当権の被担保債権の種類

抵当権の被担保債権は、通常は金銭債権だと思います。

しかし、抵当権の被担保債権は金銭債権に限りません。

たとえば、物の引渡請求権を被担保債権とすることができます。これらの債権も債務不履行があれば、損害賠償請求権という金銭債権に代わるからです。