※この記事は一般的な条文解説で、宅建等の資格試験の範囲を超えた内容も含みます。当サイトの記事が読みやすいと感じた方は、当サイトと資格試験向け教材の関係をご覧下さい。

民法374条(抵当権の順位の変更)

【解説】

1.抵当権の順位の変更

本条は抵当権の順位の変更について規定しています。

たとえば、A(1番抵当権)、B(2番抵当権)、C(3番抵当権)と抵当権が設定されている場合に、B→C→Aのように抵当権の順位を変更するような場合である。

これは「各抵当権者の合意」が必要になります。上記でいうと、A・B・Cの全員の合意が必要となります。

ただ、A→B→Cの順位を、2番抵当権と3番抵当権のみ入れ替えて、A→C→Bというふうにするには、Aの1番抵当権は全然動いていないので、Aの合意は不要です。

これに対して、A→B→Cの順位を、1番抵当権と3番抵当権のみを入れ替えて、C→B→Aというふうに変更するには、A・B・C全員の合意が必要です。Bにとって先順位のAの抵当権がCの抵当権に代わることによって、被担保債権の額が変わるなど利害関係を有するからです。

2.利害関係者の承諾(第1項但書)

ただ、抵当権の順位の変更は、関係抵当権者だけではなく、抵当権の順位の変更に利害関係を有する者がいれば、その承諾が必要です。

たとえば、転抵当権者や被担保債権の差押債権者などです。

逆に、被担保債権の債務者・保証人、物上保証人などの抵当権設定者は、ここの「利害関係を有する者」に該当しません。

3.順位変更の登記(第2項)

この抵当権の順位の変更は、登記をしなければ効力を生じません。

通常、登記というのは、「対抗要件」にすぎないんですが、この抵当権の順位の変更の登記に関しては、「効力発生要件」になっているわけです。