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民法371条(抵当権の効力の及ぶ範囲)

【解説】

1.果実

次は、「果実」に抵当権の効力が及ぶかという問題です。

この果実については、天然果実・法定果実を問わず、抵当権の効力が及びます。

ただ、この果実について抵当権の効力が及ぶのは、被担保債権の債務不履行以後の果実に限ります。これは理解できますでしょうか?

果実というのは、不動産が生み出すものです。被担保債権、つまり元の借金の弁済期が来ていなかったり、順調に返済しているうちは、抵当権設定者は、その不動産から得られる果実を取得して、お金を稼いで借金を返済してもらえばいいわけです。

ところが、元の借金の返済が滞れば、事情が変わってきますよ、ということです。銀行としても、貸金の回収を図らないといけないので、果実は銀行が取ります、ということです。

ここで少し注意して欲しいのは、法定果実である賃料についてです。物上代位のところで説明しましたように、賃料については、その払い渡し前に差押をすれば抵当権の効力を及ぼすことができましたね。

したがって、賃料については、債務不履行前であっても差押を条件に抵当権の効力が及ぶということになります。