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民法284条(地役権の時効取得)

【解説】

1.地役権の時効取得~共有の場合

本条は、民法282条(地役権の不可分性)の「地役権と共有」の部分を理解していれば、簡単に覚えることができます。

前に説明した「地役権と共有」をまとめると、覚え方のポイントは2つに要約されます。

①地役権は「土地」の便益のため→したがって、共有持分というものの上には地役権は成立しない

②法律は、地役権をできるだけ成立・存続させようとしている

2.土地の共有者の一人が時効によって地役権を取得(第1項)

これは、地役権の取得ですから、要役地の共有者ABのうち、Aだけが乙地を通行していたのでAが取得時効の要件を満たしたとします。

このままでは、A:地役権あり、B:地役権なし、となってしまいます。

このような状態は認めないので、法律は地役権をできるだけ成立させる方向で働き、AB両方に地役権を取得させるということです。

3.共有者に対する時効の中断(第2項)

第2項は時効の中断の話ですから、要役地の共有者ABが、ともに乙地を長年通行しているので、このままではABともに地役権を時効取得しそうだということです。

そこで、承役地所有者のCが、Aに対してだけ時効の中断をしたとします。この場合の時効の中断は、どんな方法でもいいですが、たとえばAに対してだけ「通行するな」と請求したとします。

そうすると、Aに対しては取得時効は中断され、Aは時効取得せず、つまりAは地役権なし。

ただ、Bに対しては、取得時効は中断されていないので、Bは地役権を時効取得してしまいます。

A:地役権なし、B:地役権あり、となるので、両方とも地役権を取得してしまいます。

そこで、時効の中断は、「各」共有者に対してしなければ、中断の効力が生じない、となります。