※この記事は一般的な条文解説で、宅建等の資格試験の範囲を超えた内容も含みます。当サイトの記事が読みやすいと感じた方は、当サイトと資格試験向け教材の関係をご覧下さい。

民法252条(共有物の管理)

【解説】

1.共有物の管理

共有物というのは、複数の所有者がいるわけですから、この共有物をどのように管理したりしていくのか、というのが次に問題になります。

民法は、この共有物の管理等について、3つの場合を分けて規定しています。

  1. 保存行為
  2. 管理行為
  3. 変更・処分行為

2.管理行為

これは共有物を利用・改良する行為です。

たとえば、共有物を賃貸している場合に、賃貸借契約を解除する行為等がその例になります。

これは、利用・改良行為ですので、次の保存行為のように誰かの独断で行うことはできず、持分の過半数で行うことになります。

ポイントは、もちろん「過半数」というところですが、気を付けてほしいのは「持分」の過半数という点です。

Aの持分が3/5、BとCの持分が1/5ずつだったとすれば、Aがある管理行為を行うのに賛成で、BとCは反対だったとします。単純な多数決では、BとCが勝ちますが、「持分」の過半数ということになると、Aが一人でも勝ちます。したがって、上記のような例では、Aの意見が通りますので注意して下さい。

3.保存行為

「保存行為」というのは、共有物の現状を維持する行為です。

具体例としては、共有建物の雨漏りを直す等の修繕などです。

これは、共有物の価値を維持する行為ですから、すべての共有者の利益になります。

したがって、これは共有者の一人が他の共有者の同意なく単独で行ってもかまいません。「単独」というところがポイントです。