民法249条(共有物の使用)
【解説】
1.共有とは
所有権に関しては、「共有」というのが重要です。
「共有」というのは、「共同所有」ということです。つまり、一つの物について、複数の人が所有権を有していることをいうわけです。この「共有」というのは、「所有権」を共有する場合に限ります。所有権「以外」の権利を共同で持つ場合は、「準共有」という言葉が別にあります。したがって、共有というからには、「所有権」を共同して持っている場合です。
一つの物を一人が所有している場合を、単独所有といいますが、これは実はあまり問題がありませんので、試験でも出題されない。しかし、一つの物を複数の人が所有している場合は、みなさんも想像がつく通り、揉めやすくなります。そこで、法律にもいろいろ規定があって、試験でも出題されるわけです。
2.共有物の使用
この共有物をどのように使用するかについてですが、重要な規定が民法にありますので、意味を理解した上で、覚えておいて下さい。
「各共有者は、共有物の『全部』について、その『持分に応じた』使用をすることができる。」という規定です。ポイントは、『』で括られた部分ですが、特に『全部』という点が重要です。
今、ある土地をAとBが共有していたとします。この土地を、Aは西側半分、Bは東側半分というように、限定してしか使えないのならば、その土地を半分に割って、それぞれの単独所有とすればいいわけであって、あえて「共有」にする必要はないでしょう。
共有にしているということは、それぞれが土地「全部」について権利を持ち、使えないと意味がありません。
もちろん、単独所有ではないので、「持分」に応じた制限は受けます。たとえば、持分に応じて使用回数や使用日数を決めたりします。
ただ、この共有物「全部」というのは、当事者が特に取り決めをしなければ、という意味です。たとえば、何らかの事情があって、当事者が話し合って、共有にしているが、Aだけを使用者にしよう、とか半分ずつ使おうとすること自体は、当事者が合意している以上、できます。