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民法140条(期間の起算)

【解説】

1.期間の起算~日、週、月又は年を単位

この「期間」というのは、言葉だけで分かると思いますが、たとえば、お金を借りた場合、3月1日に返済しますという「期限」で定めることもありますが、1年後に返済しますというように、「期間」で定める場合もあります。この「期間」の計算の仕方です。

「1年後」というからには、「1年後」に決まっているではないかと、思われるでしょうが、たとえば、3月1日にお金を貸して、「3日後に返す」という場合に、厳密にいえばいつまでに返せばいいか、正確に答えられますか?

普通、お金を貸す場合、あまり午前0時きっちりにお金を貸す場合というのは、少ないと思います。日中に貸すわけですよね。

そうすると、その貸した日の1日は、丸1日なくて、中途半端になります。

そういう場合は、初日不算入の原則というのが適用されます。つまり、初日は丸1日ないので、カウントしないで、次の日からカウントを始めるわけです。

3月1日にお金を貸した場合、

3月1日…初日で不算入
3月2日…1日目
3月3日…2日目
3月4日…3日目

ということになります。

したがって、Bとしては、3月4日の24時までに返済しないといけないということです。

「期間」については、この初日不算入の原則を覚えて下さい。

2.初日不算入の原則の例外

この初日不算入の原則は、初日は丸1日ないので端数を切り捨てるということですから、「その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。」ということになります(本条但書)。非常に珍しいと思いますが、午前0時きっちりにお金を貸す場合はそれに当たります。

それだけでなく、3月1日の時点で、「3月5日から3日間」という場合は、3月5日は「その期間が午前零時から始まるとき」に該当し、初日が算入されます。

また、この初日不算入の原則も、民法138条の規定により「法令に特別の定めがある場合」には適用されず、初日が算入される場合があります。

宅地建物取引業法にクーリング・オフの規定があり、宅地建物取引業者が自ら売主の場合は宅地建物取引業者でない買主は8日間は、一定の場合クーリング・オフできますが、この「8日間」は初日が算入されます。

ここでまとめておきましょう。

3.期間をさかのぼる場合

この初日不算入の原則は、期間を前にさかのぼる場合にも適用されます。

区分所有法(マンション法)35条1項に「集会の招集の通知は、会日より少なくとも一週間前に … 各区分所有者に発しなければならない。」という規定があります。

それでは、3月25日10時に集会を招集したいと思った場合、いつまでに集会の招集通知を発しなければならないか。3月25日から前にさかのぼりますが、

3月25日…10時の集会だからこの日は丸1日ないので、不算入
3月24日…1日
3月23日…2日
3月22日…3日
3月21日…4日
3月20日…5日
3月19日…6日
3月18日…7日
3月17日…この日の24時までに通知を発しなければならない、ということになります。