※この記事は一般的な条文解説で、宅建等の資格試験の範囲を超えた内容も含みます。当サイトの記事が読みやすいと感じた方は、当サイトと資格試験向け教材の関係をご覧下さい。
民法119条(無効な行為の追認)
【解説】
1.無効と取消
この「取消」と「無効」の違いを押さえて下さい。
「無効」も「取消」も契約の効力を否定するという点では同じです。しかし、効力の否定の仕方が異なります。
上図を見て下さい。「無効」というのは、最初から契約の効力がありません。上図では、「無効」は、最初から点線です。
しかし、「取消」は取り消されるような契約がなされても、一応契約の効力は生じて有効となります。
ところが、取り消しうべき行為をした者が、いったん契約を取り消せば、契約は「最初にさかのぼって」効力を失うというものです。
「いったん有効になる」かどうかがポイントです。
以下に、無効と取消の相違点についてまとめておきます。
2.無効な行為の追認
本条は、原則として無効な行為は、追認によっても、その効力を生じない旨を定める。
これは当然で、無効な行為は何度行っても無効だからである。
3.契約の成立・不成立と有効・無効
最後に、契約の有効・無効という話と混乱しやすいものとして、契約の成立・不成立について述べておきます。
契約というのは、両当事者の合意があれば「成立」します。したがって、両当事者の合意がなければ不成立ですが、どのような内容の契約であれ、両当事者の合意があれば、「成立」します。
しかし、だからといってこの契約は有効になるとは限りません。両当事者が合意して成立した契約でも、内容に問題があれば、その契約は「無効」となります。
両当事者の合意があって、内容的にも無効となる原因がない場合に、はじめて契約は「有効」に「成立」します。