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民法88条(天然果実及び法定果実)

【解説】

1.元物と果実

本条は、典型的な定義規定です。

天然果実と法定果実の定義が規定されていますが、まず、ある物から生み出される経済的な収益のことを「果実」といいます。その果実を生み出す物が「元物」です。

この天然果実と法定果実の区別の実益は、次条に規定がありますが、まず両者の定義を見ていきましょう。

2.天然果実

天然果実は、「物の用法に従い収取する産出物」ということになります。

この「物の用法に従い」というのは、物の経済的用途に従いという意味です。

したがって、果樹から採れる果実は天然果実に当たりますが、盆栽の実は天然果実には当たりません。

そのほかの例としては、天然果実の例は、牛乳・羊毛・野菜などです。

3.法定果実

これに対して、法定果実というのは、「物の使用の対価として受けるべき金銭その他の物」です。要するに使用の対価ですね。

これは、地代、家賃が典型例です。

「物」の対価ですが、労働の対価である賃金などは含まれません。

また、「使用」の対価ですから、売買代金なども含まれません。

また、利息については、物である「貨幣」の対価ではなく、債権の収益とも考えられますが、本質的には使用の対価と考えて差し支えないので、法定果実に含められているようです。