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民法31条(失踪の宣告の効力)

【解説】

1.死亡とみなされる時期

失踪宣告の効力は、「死亡した」ものとみなす、ということになります。

ただ、「いつ死亡した」とみなすのかについては、立法上いろいろ方法があるようです。①最後の音信時又は危難発生時、②失踪期間満了時、③失踪宣告時、などです。

民法は上記条文を見てもらえば分かる通り、普通失踪の場合は、②失踪宣告満了時とし、特別失踪の場合は、①をちょっと変更して「危難が去った時」としています。特別失踪の場合に、危難が去った時としているのは、その方が現実に死亡の蓋然性が高いからです。

2.失踪の宣告の効力

先ほど書きましたように、「死亡した」ものとみなします。不在者が生死不明の場合に、利害関係者(配偶者や相続人等)の地位が不安定となったことを、死亡したものと扱うことによって法律関係を確定させるわけです。

これは、死亡と「みなす」ということなので、「推定」ではありません。したがって、死亡していないことを立証したとしても、死亡の効果は覆らず、第32条の失踪の宣告の取消しが必要となります。

「死亡とみなす」ということは、具体的には、相続が開始され、婚姻が解消されるということになります。

ただ、被宣告者の権利能力を奪うものではないので、被宣告者が他所で身分・財産関係を形成することはできます。

最後に、失踪宣告についてまとめておきました。