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民法30条(失踪の宣告)

【解説】

1.失踪宣告

失踪宣告は第25条で説明したように、不在者の生死が不明な場合に、死亡したものと扱うことによって法律関係を確定する制度です。

したがって、失踪宣告するには、不在者の生死が不明であることが必要です。そして、その状態が一定期間継続することも必要です。

この失踪宣告は、普通失踪と特別失踪の二つがあります。

2.普通失踪(第1項)

これは、一般的に不在者の生死が不明の場合に、その状態が7年間継続したときに利害関係人の請求により家庭裁判所が失踪宣告するものです。

これは、不在者が管理人を置いたかどうかを区別しません。

そして、7年間の起算点は、最後に不在者の生存が確認されたときです。たとえば、最後に音信の行った時などです。

3.特別失踪(第2項)

この特別失踪も、不在者の生死不明+一定期間の経過、という点では変わりませんが、戦争、天災、事故等に遭遇した者については、その死亡の可能性が高いことを考慮して、7年→1年に失踪期間を短縮したものです。

そして、この「1年」の起算点は、「戦争が止んだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後」ということになります。

4.利害関係人の請求

普通失踪の場合も、特別失踪の場合も、家庭裁判所が失踪宣告を行うには、「利害関係人の請求」というのが必要となります。

この場合の利害関係人は、どのような者かが問題となりますが、失踪宣告の効果は「死亡とみなされる」(第31条)ので、婚姻は解消され、相続が開始されるという強力な効果を伴いますので、たとえば単に利害関係があるというだけではなく、相当重大な法律上の利害関係を有する者とされます。

具体的には、配偶者、法定相続人、親権者、不在者財産管理人等が挙げられます。