民法5条(未成年者の法律行為)
【解説】
1.未成年者の法律行為
未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければいけません(第1項)。これに反して、未成年者が単独で法律行為を行えば、その法律行為を取り消すことができます(第2項)。
しかし、未成年者でも婚姻すれば、成年とみなされますので(成年擬制、民法753条)、単独で法律行為を行うことができます。
2.単に権利を得、又は義務を免れる法律行為(第1項)
実は、この20歳未満の人でも、契約できるというのは、婚姻したとき以外にもまだあります。未成年者というのは、まだ若いので、一人で契約をする判断能力がないということですが、一人で契約をすると、不利益な、損をするような契約をするということです。それなら、損をしないような契約なら一人でしてもよいという話になります。絶対損をしないような契約なんてあるのか、と思われる方もおられるかと思いますが、ありますよ。贈与を受ける契約です。贈与契約というのは、タダでものをもらう契約のことです。売買契約というのは、「物」をもらう対価として「お金」を支払います。それに対して、贈与契約というのは、「物」はもらうけど、それに対する対価として「お金」は払いません。これなら、未成年者が一人で行っても大丈夫だろうということです。
贈与契約が「単に権利を得」る場合であったのに対して、「義務を免れる法律行為」というのは、具体的には借金を棒引き(免除)してもらうような場合です。
3.法定代理人が処分を許した財産を処分する場合(第3項)
「法定代理人」というのが、まず、分かりにくいと思いますが、親権者、つまり親のことです。制限能力者は自分に能力がないか、不十分なので、制限能力者を保護するために、保護者というのが付きます。未成年者の場合の保護者は、まずは親ですよね。この親(親権者)は、「法」律が「定」めた「代理人」ということで、「法定代理人」と呼ばれます。
そして、この「法定代理人が処分を許した財産を処分」というのは、この具体例としては、「お小遣い」をイメージしていただければいいと思います。親が子供にお小遣いを与えるということは、「このお金は自由に使っていいよ」ということです。