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民事訴訟法388条(支払督促の送達)

【解説】

1.債務者への送達(第1項)

支払督促は、債務者へ審尋することなく発せられるので(第386条1項)、債務者に督促異議の機会を保障するために債務者への送達が義務付けられています。

これに対して、債権者に対しては、手続の簡易迅速化の観点から、裁判所書記官が、支払督促を発した旨を債権者に通知することになっています(民事訴訟規則234条2項)。

2.支払督促の効力の発生時期(第2項)

「裁判所」が行った決定であれば、その決定は相当と認める方法で告知することによって効力を生じますが(第119条)、支払督促は、裁判所書記官の処分ですから、支払督促が債務者に送達された時に効力が生ずるという明文規定を置いたのが第2項です。

3.送達できない場合(第3項)

債権者が申し出た場所に債務者の住所等がないため、支払督促を送達することができないとき、支払督促においては公示送達の方法を用いることができないので(第382条)、支払督促の手続を進めることができません。

このような場合、本来ならば、債務者の住所を調査して、申立書の補正を命じ、それに応じられないときは、申立てを却下するということになりますが、それでは手続の簡易迅速性に反するので、裁判所書記官は、その旨を債権者に通知し、債権者が通知を受けた日から2月の不変期間内にその申出に係る場所以外の送達をすべき場所の申出をしないときは、支払督促の申立てを取り下げたものとみなしています。