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民事訴訟法385条(申立ての却下)
【解説】
1.申立ての却下
本条では、支払督促の申立てが却下される場合及びその異議申立てについて規定されています。
まず、支払督促の申立てが却下されるのは以下の2つの場合です。
①第382条若しくは第383条の規定に違反
具体的には、請求適格(金銭その他の代替物等を目的とする請求)、送達の要件、管轄の要件を満たさない申立ての場合である。
②申立ての趣旨から請求に理由がないことが明らか
たとえば、請求自体が公序良俗違反である場合などである。
2.却下に対する異議申立て
支払督促の申立てに対して却下されたときは、相当と認める方法で告知されますが(第2項)、これに対する異議の申立ては、その告知を受けた日から1週間の不変期間内にしなければいけません(第3項)。この異議申立ては、その処分をした裁判所書記官が属する簡易裁判所に対して行うことになります(第121条)。そして、この異議の申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができません(第4項)。
3.補正
支払督促の申立てには、その性質に反しない限り、訴えに関する規定が準用されるので(第384条)、申立書の必要的記載事項が欠けていたり、申立書の記載では当事者や請求を特定できなかったり、申立手数料相当額の収入印紙が貼付されていないときなどは、裁判所書記官は、相当の期間を定め、その期間内に不備を補正すべきことを命じなければならない(137条1項の準用)。補正がなければ申立てを却下する処分をすることになる。