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民事訴訟法378条(異議)

【解説】

少額訴訟の終局判決に対しては、控訴をすることができませんが(第377条)、本条で「その判決をした裁判所」に異議申立てをすることができます。

この控訴と異議申立ての違いが分かりにくい人もいるかもしれませんが、控訴というのは上級裁判所(この場合は地方裁判所)に不服を申し立てることですが、この異議申立ては「その判決をした裁判所」、つまり簡易裁判所に不服を申し立てることです。少額訴訟では、一期日審理の原則や証拠調べの制限等があり、通常の訴訟手続より簡単な手続で審理がなされますが、異議を申し立てることによって、同じ簡易裁判所ではありますが、通常の訴訟手続による審理が認められるということになります。

この異議申立ての期間は、判決書又は送達を受けた日から2週間の不変期間ということになります。

ただ、少額訴訟においては、原則として一期日内で判決の言渡しまで行われますので、判決の言い渡しを受けた当事者が、その場で異議申立てを行うこともあり得ます。そこで、上記の期間「前」に申し立てた異議も効力が認められます(第1項但書)。

この少額訴訟の異議申立て制度は、手形小切手訴訟の異議申立てにならった制度です。そこで、手形小切手異議申立てに関する異議申立権の放棄(第358条)、口頭弁論を経ない異議の却下(第359条)、異議の取下げ(第360条)の規定が準用されています(第2項)。