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民事訴訟法374条(判決の言渡し)

【解説】

本条は、判決の言渡しは、口頭弁論の終結後直ちにするとしており、一期日審理の原則(第370条)が判決の言渡しも含めて実現されることを規定しています。

ここで、「直ちに」というのは、時間的に接着してという意味ですが、必ずしも間をおかずにという意味ではなく、判決言渡しに数十分ないし1時間のような合理的感覚が空いてもかまいません。

次に、「相当でないと認める場合を除き」(第1項)とされていますが、これはたとえば、口頭弁論終結後ある程度の時間をおいた方が当事者が判決の内容を冷静に受け止められるような場合、被告の任意の履行を促しやすい場合、次回期日に和解が成立する見込みが大きい場合、計算関係が複雑な場合が考えられます。そして、この場合は別に判決言渡しのための期日を指定し、判決書を作成して、その原本に基づいて判決の言渡しをすることになります。

次に、この少額訴訟の判決の言渡しは、判決書の原本に基づかないですることができます(第2項)。これは、原則どおり判決書を作成して言渡していたのでは、判決の言渡しも含めた一期日審理の原則を実現することが難しくなるからです。

この場合に、「第254条第2項及び第255条の規定を準用する」とされているので、いわゆる調書判決の形になります。調書判決というのは分かりにくいかもしれませんが、口頭で判決を言渡し、その判決の言渡しをした口頭弁論期日の調書にその判決の内容を記載し、その調書を判決書にするという方法です。

そして、その判決の言渡しの方式は、裁判長が主文及び理由の要旨を告げてすることになります(民事訴訟規則115条3項、229条2項)。

このような少額訴訟の判決書又は判決書に代わる調書には、少額訴訟判決と表示しなければいけません(民事訴訟規則229条1項)。