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区分所有法8条(特定承継人の責任)

【解説】

本条の「前条第1項に規定する債権」というのは、管理費や修繕積立金ですが、これらの債務を負っている者が、それを滞納したまま、専有部分を第三者に売却した場合にどうなるのかという規定です。

民法にも、「共有者の一人が共有物について他の共有者に対して有する債権は、その特定承継人に対しても行使することができる。」(民法254条)という規定がありましたが、これと同じで、滞納管理費なども特定承継人に請求することができるという規定です。これは専有部分の売買契約において、買主は滞納管理費の支払義務を承継しないという定めがあった場合でも同様です。この売買契約の定めは、あくまで買主と売主を拘束するものにすぎず、管理組合を拘束するものではないからです。また、特定承継人が滞納管理費の存在について善意無過失であったとしても責任を負います。

この特定承継人にも請求できる債権は滞納管理費そのものだけでなく、滞納したことによる遅延損害金も含みます。それも区分所有者に対する債権であることには間違いないので当然でしょう。

また、「特定承継人」というのは、売買などによる買主のことですが、区分所有権を取得した者であれば、売買や贈与などに限らず、競売によって取得した場合も含みます。

本条では特定承継人に請求できる旨を定めていますが、本来の債務者である前区分所有者の責任はどうなるのか、ということですが、この条文があるからといってその責任が免除されるわけではありません。

前区分所有者の責任と特定承継人の責任は並存します。これは、本条の文末が「できる」で終わっているところからも分かるでしょう。

そして、この両者の責任は不真正連帯債務とされていますので、弁済のような債権が満足するような事由は絶対効がありますが、その他の事由は絶対効はありません。