被災マンション法18条(団地内の建物が滅失した場合における一括建替え等決議)
【解説】
団地内の区分所有建物を一括して建て替える場合は、区分所有法70条で一括建替え決議というのが認められています。
被災マンション法においても、政令で定める災害によりその団地内の全部又は一部の建物が滅失したときに、区分所有建物を一括して建て替える制度が認められています(一括建替え等決議)。
建替えというのは、本来は建物ごとに検討するのが原則です。被災マンション法においても、再建承認決議(第15条)、建替え承認決議(第16条)、建替え再建承認決議(第17条)では、承認決議の前提として、各区分所有建物の集会で再建決議や建替え決議が行われます。
しかし、一括建替え等決議においては、個々の建物の区分所有者等の集会ではなく、団地建物所有者等集会において団地内の建物について一括して建替え又は再建の決議を行うことになります。このように、団地内の区分所有建物の全部を建て替えることにより、建物の配置を変更することができ、敷地全体の利用方法を一体的に見直すことが可能です。
たとえば、一団地内にA、B、Cの3棟の区分所有建物があったとします。そして、政令で定める災害によって、Aは全部滅失、Bは大規模一部滅失、Cは小規模一部滅失したとします。この3棟を個別に建て替えるのではなく、3棟をまとめて1棟にするというような建替えが一括建替え等決議で行うことができます。
このような一括建替え等決議を行うには、上記の事例で、A~Cの3棟の団地建物所有者等集会で議決権(団地建物所有者等が共有する当該土地の持分の割合)の5分の4以上の賛成が必要です。それだけではなく、A棟の議決権(土地の持分の割合)の3分の2以上の賛成、及びB棟・C棟の各棟の区分所有者及び議決権の3分の2以上の賛成が必要です。つまり、全体として5分の4の賛成があったとしても、特定の棟で3分の2を割り込む少ない賛成しかない場合は、一括建替え等決議は成立しないということです。
なお、本条では「区分所有法第70条第1項本文に規定する場合において」と規定されている通り、区分所有法の一括建替え決議と同様の状態が必要です。すなわち、団地内のすべての建物が「区分所有建物」で、その団地内の「土地」を共有する場合で(附属施設のみを共有する場合は含まない)、団地内の各建物の管理に関して団地建物所有者の団体における規約が定められていることが必要です。