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被災マンション法9条(建物敷地売却決議等)

【解説】

1.建物敷地売却決議

本条は、政令で定める災害により区分所有建物の一部が滅失した場合において、区分所有建物及びその敷地を売却する旨の決議ができる旨を規定しています(第1項)。
これは一部滅失した区分所有建物を取り壊すことなく、当該建物を現状有姿のまま、その敷地とともに売却することです。

この決議のための議決要件として、

1.区分所有者
2.議決権(原則として床面積割合)
3.敷地利用権の持分の価格

のそれぞれについて5分の4以上の多数が必要とされていますが、通常の建替え決議(区分所有法62条1項)の場合と異なり、「敷地利用権の持分の価格」も考慮するのは、敷地の売却を伴うからです。

なお、敷地利用権が賃借権である場合は、賃借権の譲渡には、地主の承諾が必要となりますが(民法612条)、地主の承諾が得られない場合は、借地借家法19条により、裁判所の借地権設定者(地主)の承諾に代わる許可をもらうこともできます。

2.手続

建物敷地売却決議及びその後の手続については、おおむね建替え決議の場合と似た規制がなされています。

なお、招集通知に必要な事項として「売却を必要とする理由」(第5項1号)というのは、たとえば、復旧をしたとしても大規模一部滅失前の効用を完全に回復することが困難である上に、容積率の関係で既存不適格となっており、建替えにより同一の規模の建物を建築することが困難であるといった事情などです。

また、当該建物に抵当権者や賃借人がいたとしても、抵当権や賃借権は消滅することなく存続し、抵当権や賃借権が付いたままで建物敷地売却決議に基づいて建物及び敷地を売却することは可能です。ただ、売却を円滑に進めるためには、抵当権者や賃借人との合意により、これらの権利は消滅させておいた方がいいと思われます。