被災マンション法8条(区分所有建物の一部が滅失した場合における区分所有者集会の招集の通知に関する特例)
【解説】
区分所有建物の一部滅失の場合は、区分所有建物が残っているので、区分所有法の適用が排除されるわけではありません。
しかし、災害の後では、区分所有者が建物から避難していたり、また倒壊の危険等から建物内に立ち入ることが困難な場合も考えられます。
このような点から、政令施行日から起算して1年以内の日を会日とする区分所有者集会を招集するときは、区分所有法35条3項及び第4項の規定は、適用されないことになっています(第1項)。同3項は、集会の招集通知は「区分所有者が管理者に対して通知を受けるべき場所を通知したときはその場所に、これを通知しなかったときは区分所有者の所有する専有部分が所在する場所にあててすれば足りる」旨を、同4項は「建物内に住所を有する区分所有者又は通知を受けるべき場所を通知しない区分所有者に対して建物内の見やすい場所に掲示して通知できる」旨を規定しています。
その代わりに、招集通知は、区分所有者が災害発生後に管理者に対して通知を受けるべき場所を通知したときは、その場所に宛ててすれば足りるとしています(第2項)。
また、集会を招集する者が区分所有者(通知を受けるべき場所を通知したものを除く。)の所在を知ることができないときは、建物又はその敷地内の見やすい場所に掲示してすることができます(第3項)。ただし、集会を招集する者が当該区分所有者の所在を知らないことについて過失があったときは、到達の効力を生じないものとされています(第4項)。この「過失」というのは、区分所有者の所在について合理的に期待される程度の所在の調査義務を果たしていないような場合です。
また、会議の目的たる事項が建物敷地売却決議、建物取壊し敷地売却決議又は取壊し決議であるときは、その議案の要領も通知する必要があります(第5項)。