宅建試験 ガイダンス
目次
1.宅建試験とは
それでは「宅建物語」ということで、宅建試験について、「どのような試験か?」ということから始まって、実際の宅建試験で勉強する中身についてまで、何の予備知識もない初心者でも、分かりやすく解説していきたいと思います。
まず、最初は宅建試験(宅地建物取引士資格試験)というのは、どのような試験かという点についてですが、不動産に関する法律系の国家資格です(具体的な学習内容は後述します)。
そして、法律系の国家資格の中では、一番受験者数の多い魅力のある資格です。
だいたい20万人くらいの人が受験します。
バブルの頃は申込者数が非常に多くて、40万人以上という人が申し込んでいました。その後は不動産はダメだと思われるかもしれませんが、確かにその後受験者数は減っているとはいえ、それでも20万人というのは、最も受験者数が多い試験です。これは、宅建の受験者数だけで結構大きな町ができるくらいの人数です。「毎年」です。20万人といえば、「特例市」(現在の指定要件は、法定人口が20万人以上)といって行政上特別な扱いがなされるくらいの大きな町の人口に相当します。
2.なぜ受験者数が多いか
(1) なぜ受験者数が多いか
それでは、なぜ宅建というのは、こんなに受験者数が多いんでしょうか。
宅建といえば、みなさん「不動産」というイメージがあると思います。「不動産」の資格なのに、なぜそれほど受験者数が多いのか。
これは、「不動産」だけでなく、いろいろな人がいろいろな状況の中で「使いやすい」、使い勝手のいい資格です。それでは、具体的に、まずは「就職」という観点から見ていきましょう。
(2) 不動産業
まず、単純に考えれば「不動産業」に入りたい方は、「建設業」も含めて、就職の段階で宅建を持っていれば入りやすくなります。わざわざ勉強までして資格を取っているということは、やる気があるという何よりの証明です。
また、大学生などは内定をもらった段階でも、入社までに取得しておくようにと言われるはずです。さらに、会社に入った後でも、必ず宅建は「取ってくれ」ということになります。
そして、資格を持っていると、なんといっても「直接」役に立つという点では、毎月「手当」が付く会社が圧倒的に多いです。金額は、会社によっていろいろです。これは「毎月」なので結構大きいですよ。会社によって、合格時に「お祝い金」という形で一括して支払われるところもあります。
それでは、改めて言うまでもないでしょうが、なぜ不動産業で必要かというと、もちろん仕事ですから、仕事をする上で、不動産に関する知識が必要だというのもあります。
それだけではありません、法律上宅建業者(今のところ不動産会社と考えて下さい)には、宅建の資格=宅地建物取引士の資格を持っている人が、事務所ごとに「最低」5人に1人は必要です。これは法律上義務づけられているので、この宅地建物取引士が5人に1人いないと、そもそも宅建業ができないので、宅建業者にとっては死活問題です。だから、資格手当まで付けても、宅建の資格者を優遇しているわけです。これは「最低」5人に1人ということですから、1人で宅建業を行っている会社でも1人必要です。5人でも1人ですが、6人になると2人いります。このパターンの場合は、実質上は3人に1人ということになります。また、資格を持っている社員が辞める場合もあるので、「予備」として他に資格者を用意しておかないと会社としては、非常に心配です。
そして、5人に1人というのは、「事務所」(本店とか支店のこと)「ごと」というのに注意して下さい。つまり、会社全体としては5人に1人という要件を満たしていても、ある特定の支店だけ数が足りないと、その支店で営業をすることはできなくなるので、会社としては人員配置を変えなければいけません。私なんかも、企業研修などに行くと、人事担当の人から、その辺を相談されて、「この人は絶対に合格させて下さい」というようなことを言われます。宅地建物取引士が少ないと人事異動に支障が出るからです。単に人だけで人事異動を考えていると、たまたまある支店で、資格者の数が足りないという状況が生じます。
そうやって考えると、5人に1人というのは、少ないように思うかもしれませんが、会社にとっては、思っている以上に厳しいと数字といえると思います。したがって、資格者が多ければ多いほどよいというのが企業の本音です。
(3) 金融機関
次に、宅建は銀行等の金融機関の就職にも役立ちます。これはみなさんが思っている以上に役に立ちます。なぜか分かりますでしょうか?それは銀行はお金を貸すときに、不動産を担保に銀行はお金を貸すからです。担保というのは、抵当権などです。したがって、「不動産」に関する知識は、銀行マンとしては外せないということになります。
実際に宅建の講義を受けに来ている人の中には、銀行員というのは結構います。ただ、銀行に入ると勉強時間がなかなか取れない人が多いんですが、多くの銀行員は宅建を取得したいと考えています。
(4) 一般企業
それでは、不動産と金融以外の企業に入ろうという人は、宅建は関係ないのか?ということになりますが、それが意外に役立つ場面は出てきます。一般の企業においても不動産の知識が役立つ場面は多くあります。たとえば、多くの店舗などを持つ企業があります。ファストフード、ファストファッション、外食産業のような会社です。これらの企業では、新規出店などでは必ず不動産の知識を持っている人が必要になります。もちろん、賃貸が多いでしょうが、不動産の賃貸であることに変わりはありません。企業内に、そのような部署が必ずあるはずなんです。流通などでも、倉庫などをいっぱい持たないといけません。
それ以外にも、大きな会社なら、不動産部門や不動産の子会社を持っているところもあります。宅建を持っていれば、そのような会社へ移りやすいということもあるでしょう。
以上を除いても、企業として仕事をしている以上、自社ビルか賃貸かは別として、オフィスは必要となりますので、それを扱っている部署(総務部など)はあります。支店でビルにテナントとして入る場合には、入るとき、出て行くときにどういう処理が必要なのかは、不動産の知識が全くない人には任せられません。不動産の知識が全く不要な会社というのは、ちょっと考えられないくらいです。
(5) 独立開業
今までは、企業の社員として働くという話でしたが、宅建は独立開業しやすいというのも大きな魅力です。
みなさん電車の駅を降りたときのことを考えて下さい。ほとんどすべての駅の前に小さな不動産屋があります。地場の不動産屋です。あの不動産屋は当然、宅建の資格を少なくとも誰か一人は持っていないと商売することはできません。要するに、現に独立開業している人がいっぱいいるということです。日本中同じような状況なわけですから、独立開業している人の見本が、駅ごとにあるわけです。もちろん、ちょっとでも大きな駅であれば、何件も不動産屋があります。それを見ても分かるように独立することも可能です。
つまり、選択肢が多いんです。不動産会社で働いて、そのまま会社で仕事を続けてもいいし、会社で仕事を覚えていれば、その気になれば独立開業もできるということです。
このように就職にも独立開業にも両方役立つという資格試験は、あまりありません。他の資格試験は、就職に役立つか、独立開業に役立つかのどちらかというのがほとんどです。司法試験の弁護士、司法書士、不動産鑑定士、税理士などは独立開業の資格で、例外もありますが、就職のときにアピールするという資格ではありません。簿記などは、就職には役立ちますが、簿記だけで独立開業するということはできません。その点、宅建というのは両方できる非常に珍しい資格です。そういう意味でも、宅建の優位性というのは理解できると思います。
(6) 生活にも役立つ
それでは、仕事という観点を離れて、生活に関連して不動産の知識が必要かといえば、これは生きていく上で必要でしょう。
ホームレスでない限り、マイホームか賃貸かは別にして、人は家に住んでいます。このときに宅建で勉強する知識は非常に役に立ちます。たとえば、部屋を賃借するにしても、生活しているといろいろな問題が起きてきます。たとえば、部屋の電球が切れた、鍵がおかしい、水道の様子がおかしい、などなどです。このような問題については、自分で修理しなければいけないのか、家主さんに言いに行けばいいのか?です。電球は自分で替えなければいけないことくらいは、何となく常識で分かると思いますが、その他の問題になると、みんなちょっと困ってしまうと思います。また、よく問題になる事例としては、部屋を借りたときに、「敷金」というのを払うことが多いですが、部屋を出て行くときに、家主さんが敷金を返してくれない!どうしよう、というような場合です。宅建では、このような内容は、「賃貸借」というところで勉強します。
それと、よく宅建の受講生に「なぜ宅建を勉強し始めたんですか?」と聞くと、マイホームを買うときに不動産屋と話をして、不動産屋の話がよく分からなかった。話はフンフンと聞いているんでしょうが、実際はよく分からずに、それが悔しいという人もいるし、不安になる人も多いんです。それで、不動産を買うということをきっかけに宅建を勉強する人も結構います。これは、その人がどんな仕事をしているかにかかわらず、というより不動産に関係ない職種だからこそ、不動産屋の話が分からないんです。つまり、みんな不動産にかかわっているわけです。
また、マイホームに購入については、「税金」がかかるというのもご存じでしょうか。「売る」場合だけでなく、「買う」だけで税金がかかるんですよ。「売る」方は、売って儲かる場合があるので、税金を払うというのは、分かると思うんですが、実は「買う」方にも税金がかかります。ついでに、マイホーム購入については、不動産そのものの値段だけではなく、今言った買ったときの税金(不動産取得税といいます)、毎年払う固定資産税、不動産を買えば「登記」しないといけないので登録免許税、不動産の契約書には収入印紙というのを貼りますので印紙税というのもかかります。このような税金の知識も宅建では勉強します。
さらに、不動産会社の仲介で買ったのであれば、仲介手数料というのを不動産屋に払わないといけませんが、この仲介手数料がどれくらいかかるのかというのも宅建で勉強します。
まだそれ以外にも宅建は、役立ちます。宅建では重要な科目として「民法」というのをよく勉強します。いろいろな法律の中で基本になるのは、憲法なんですが、実際に生活に役立つという意味で、最も基本となるのは「民法」です。たとえば、権利関係の最初の方で話をすることになりますが、成年後見人とか成年被後見人とかいう言葉を聞いたことがあるでしょうか。これは具体的には老人の痴呆の問題などです。このような人は、自分の財産だからといって本人に任せると人に騙されたりします。それを法律が守ってくれているという話です。他に、いくらでも生活に役立つ内容は、勉強します。相続の問題とか、よく人から保証人になってくれと頼まれることがありますが、この保証というのも民法で出てきます。
このように日常生活にかかわるいろいろな勉強もするので、非常に役に立ちます。
(7) 他の資格試験へのステップアップ
資格というのは、宅建以外にもいろいろあるんですが、宅建というのは、それほど難関試験というわけではありません。むしろ従来から法律系の資格試験の登竜門的な位置付けがなされています。したがって、宅建というのは、初めて法律を学ぶ方がほとんどです。したがって、法律の勉強の知識はゼロから始めるというのが大前提です。もともとそういう試験なんです。実際に主婦の方で、それまで全く法律などは関係ないところで生活してきた人も勉強しますし、合格します。ただ、最近は難易度が高くなっているのも事実ですが、宅建より簡単な法律の試験もあるんでしょうが、それは実際には就職などには役に立ちません。実際に社会で評価してもらえる国家試験では、宅建は法律系の資格試験ではやはり登竜門となります。
もっと上級の試験もあります。一番難しいのは、やはり司法試験でしょうか。司法書士というのも非常に難しいです。不動産鑑定士というのもあります。もう少し受けやすいものとして、行政書士というのもあります。そして、宅建とは兄弟分的な資格としてマンション管理士・管理業務主任者というのもあります。これは「マンション」に特化した試験で、宅建と同じ不動産系ですので、宅建→管理業務主任者→マンション管理士という流れで受験される方は多いです。ちなみに、難易度は管理業務主任者(20%程度)<宅建(15%程度)<マンション管理士(8%程度)となっています。
その他の人気の資格としてファイナンシャル・プランナー(FP)などもあります。
そして、司法書士や行政書士などを持っておられる方でも、「一番最初に取った資格は何ですか?」と聞いたら、「宅建」だと答える人は結構います。まさに、宅建は法律系の資格試験の登竜門で、もっと上級の試験への扉を開いてくれる試験です。
その理由は、やはり「民法」です。「民法」というのは、これらのすべての試験に出題されますし、宅建の「民法」というのは案外バカにできないので、宅建でしっかり民法を勉強しておけば、その上に積み上げていけば、上級試験にも対応しやすくなります。私の受講生でも、宅建で民法を勉強したのをきっかけに、「これは面白い!」ということで、その後司法書士等に挑戦する人は、結構出てきます。
3.宅地建物取引士の仕事
それでは、みなさんが合格された後の宅地建物取引士というのは、どういう仕事をするのでしょうか。
宅地建物取引士の仕事(法律では「事務」といいます)は宅地建物取引業法によると、以下の3つです。
- 重要事項の説明
- 重要事項説明書の記名押印
- 契約成立後の書面の記名押印
宅地建物取引士の事務(仕事)で重要なものといえば、何といっても①と②の重要事項の説明です。
「重要事項の説明」というのは、文字通り取引する物件の「重要な事項」について買主や借主に説明してあげることです。これから不動産を購入したり、借りたりする人は、自分が買ったり、借りたりする物件がどのような物件かよく知った上で契約しないと後で後悔することになります。特に、購入する不動産がマイホームなどであれば、その人にとって一生に1回の一番高額の買い物になる可能性が高いです。したがって、宅地建物取引士が「この物件は、こういう地域にあるので、建物の建築をしたり増改築をするときにはこのような制限があります」というようなことを説明してあげるわけです。その物件を買おうとしている人は、その説明を聞いたうえで、購入するかどうかを決めるわけです。
このように宅地建物取引士というのは、物件(不動産)についての説明をするので、不動産に関する知識を有する資格を持っている者がしなければならない、ということになっています。そこで、宅建試験があるというわけです。
宅建試験というのは、後述のようにいろいろなことが試験で問われますが、このような重要事項の説明がしっかりできるような基本的な知識などについて試験がなされます。
みなさんが試験に合格されますと、「宅地建物取引士証」という運転免許証のようなものがもらえますので、これを相手に提示して重要事項の説明というのができるようになります。
宅建試験を受験するきっかけとして、実際に自分がお客さんの立場で、重要事項の説明を受けられた方が、「自分も、こういうことがやれたらいいな!」と思って宅建の勉強をされる方もおられるくらいです。
なお、③の契約成立後の書面というのは、簡単にいえば契約書のことです。契約書に記名押印(名前を書いてハンコを押す)するというのも宅地建物取引士の仕事です。
4.試験概要(合格率・合格点等)
(1) 試験日程等
それでは、試験の具体的な内容について説明しましょう。
試験日等は、毎年変動しますので、試験の実施機関である不動産適正取引推進機構のホームページで確認するようにして下さい。
だいたい例年以下のような日程で行われています。
- 受験申込期間 7月中(インターネット申込は2週間程度と短いので注意)
- 試験日 10月第3日曜日
- 合格発表 12月第1水曜日(たまに11月最終水曜日)
(2) 試験の難易度等
それでは、宅建試験の難易度はどの程度なんでしょうか。
先ほど、宅建というのは法律系の資格試験の登竜門だといいましたが、試験は四肢択一のマークシート形式で、記述式は全くないので、勉強しやすいと思います。オール四肢択一で、50問です。1問1点で50点満点と非常にシンプルです。記述式というのは、知らなければ何も書けないので、厳しいですが、その点オール択一というのは、正解を出すのは、難しいかもしれませんが、一応答えは出せますので、その点ではやりやすいと思います。
そして、年度によって違いはありますが、合格点はよく35点で合格という言い方がされます。だいたい7割くらいが目標というわけです。満点取れと言われているわけでもないし、8割、9割取れと言われれば厳しいんですが、7割取れればいいんです。
ただ、この合格点というのは、年度によってかなり変動します。過去の宅建試験で一番合格点が低かったのが26点です。一番高いときで36点です。26点のときは特殊だったんですが、30点から36点くらいであれば、現在もありえる変動です。なぜ、こういうことが起こるのかというと、合格点というのは結果なんであって、宅建の合格者というのは、全体の合格率で決めます。合格率も変動幅があるといえばありますが、だいたい15%くらいを目途にしています。実は、宅建試験は合格点近辺に人が集まっていますので、合格点を1点動かすことによって、平気で合格率が5%くらい動くときがあります。したがって、そんなにきっちり合格率を操作することはできません。
したがって、年度によって試験の問題が非常に難しくて、みんなショックを受けるような年もあるんですが、しかし驚くことはありません。15%くらいは必ず合格しています。逆に簡単な問題の年でも15%しか通してくれませんが… したがって、問題が難しかろうが、15%は通してくれるので、その意味でもやりやすいと思います。
■宅建試験の合格点と合格率の推移
また、宅建の過去の最年少合格者は12歳、最高齢の合格者は93歳です。したがって、こういう年齢でも合格するわけですから、そんなに特殊な能力が必要なわけではありません。
■参考資料として過去の合格点・合格率の推移
申込者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 合格点 | |
昭和33年 | 36,646 | 34,065 | 93.0% | ||
昭和34年 | 12,876 | 12,649 | 98.2% | ||
昭和35年 | 15,909 | 15,051 | 12,502 | 83.1% | |
昭和36年 | 18,953 | 17,935 | 11,662 | 65.0% | |
昭和37年 | 30,004 | 12,339 | 41.1% | ||
昭和38年 | 36,704 | 33,189 | 14,059 | 42.4% | |
昭和39年 | 43,281 | 39,825 | 9,040 | 22.7% | |
昭和40年 | 25,382 | 23,678 | 10,177 | 43.0% | |
昭和41年 | 26,260 | 24,528 | 8,995 | 36.7% | |
昭和42年 | 35,893 | 32,936 | 9,239 | 28.1% | |
昭和43年 | 46,194 | 42,960 | 10,392 | 24.2% | |
昭和44年 | 65,395 | 60,965 | 31,398 | 51.5% | |
昭和45年 | 98,049 | 88,514 | 23,063 | 26.1% | |
昭和46年 | 122,569 | 109,732 | 20,547 | 18.7% | |
昭和47年 | 174,306 | 156,949 | 33,867 | 21.6% | |
昭和48年 | 193,810 | 173,152 | 57,140 | 33.0% | |
昭和49年 | 121,740 | 102,849 | 17,821 | 17.3% | |
昭和50年 | 92,050 | 76,128 | 15,012 | 19.7% | |
昭和51年 | 93,747 | 79,300 | 21,561 | 27.2% | |
昭和52年 | 99,016 | 83,011 | 20,648 | 24.9% | |
昭和53年 | 103,914 | 88,861 | 20,112 | 22.6% | |
昭和54年 | 135,931 | 116,927 | 17,655 | 15.1% | |
昭和55年 | 152,315 | 130,761 | 26,153 | 20.0% | |
昭和56年 | 137,864 | 119,091 | 22,660 | 19.0% | 35点 |
昭和57年 | 124,239 | 109,061 | 22,355 | 20.5% | 35点 |
昭和58年 | 119,919 | 103,953 | 13,761 | 13.2% | 30点 |
昭和59年 | 119,703 | 102,233 | 16,325 | 16.0% | 31点 |
昭和60年 | 120,943 | 104,566 | 16,170 | 15.5% | 32点 |
昭和61年 | 150,432 | 131,073 | 21,786 | 16.6% | 33点 |
昭和62年 | 219,036 | 192,785 | 36,669 | 19.0% | 35点 |
昭和63年 | 280,660 | 235,803 | 39,537 | 16.8% | 35点 |
平成元年 | 339,282 | 281,701 | 41,978 | 14.9% | 33点 |
平成2年 | 422,904 | 342,111 | 44,149 | 12.9% | 26点 |
平成3年 | 348,008 | 280,779 | 39,181 | 14.0% | 34点 |
平成4年 | 282,806 | 223,700 | 35,733 | 16.0% | 32点 |
平成5年 | 242,212 | 195,577 | 28,138 | 14.4% | 33点 |
平成6年 | 248,076 | 201,542 | 30,500 | 15.1% | 33点 |
平成7年 | 249,678 | 202,589 | 28,124 | 13.9% | 28点 |
平成8年 | 244,915 | 197,168 | 29,065 | 14.7% | 32点 |
平成9年 | 234,175 | 190,131 | 26,835 | 14.1% | 34点 |
平成10年 | 224,822 | 179,713 | 24,930 | 13.9% | 30点 |
平成11年 | 222,913 | 178,384 | 28,277 | 15.9% | 30点 |
平成12年 | 210,465 | 168,094 | 25,928 | 15.4% | 30点 |
平成13年 | 204,629 | 165,104 | 25,203 | 15.3% | 34点 |
平成14年 | 209,672 | 169,657 | 29,423 | 17.3% | 36点 |
平成15年 | 210,182 | 169,625 | 25,942 | 15.3% | 35点 |
平成16年 | 216,830 | 173,457 | 27,639 | 15.9% | 32点 |
平成17年 | 226,665 | 181,880 | 31,520 | 17.3% | 33点 |
平成18年 | 240,278 | 193,573 | 33,191 | 17.1% | 34点 |
平成19年 | 260,633 | 209,684 | 36,203 | 17.3% | 35点 |
平成20年 | 260,591 | 209,415 | 33,946 | 16.2% | 33点 |
平成21年 | 241,944 | 195,515 | 34,918 | 17.9% | 33点 |
平成22年 | 228,214 | 186,542 | 28,311 | 15.2% | 36点 |
平成23年 | 231,596 | 188,572 | 30,391 | 16.1% | 36点 |
平成24年 | 236,350 | 191,169 | 32,000 | 16.7% | 33点 |
平成25年 | 234,586 | 186,304 | 28,470 | 15.3% | 33点 |
平成26年 | 238,343 | 192,029 | 33,670 | 17.5% | 32点 |
平成27年 | 243,199 | 194,926 | 30,028 | 15.4% | 31点 |
平成28年 | 245,742 | 198,463 | 30,589 | 15.4% | 35点 |
平成29年 | 258,511 | 209,354 | 32,644 | 15.6% | 35点 |
平成30年 | 265,444 | 213,993 | 33,360 | 15.6% | 37点 |
令和元年 | 276,019 | 220,797 | 37.481 | 17.0% | 35点 |
令和2年 | 259,284 | 204,250 | 34,338 | 17.6% | 38点 |
令和3年 | 296,518 | 234,714 | 41,471 | 17.7% | 34点 |
令和4年 | 283,856 | 226,048 | 38,525 | 17.0% | 36点 |
※令和2年は、10月試験と12月試験の合計ですが、12月試験の合格点は36点です。
(3) 受験資格
現在、宅建の受験資格というのは撤廃されており、誰でも受験することができます。現に中学生が受験して合格しているということもあります。
(4) 試験の内容
試験の内容は、基本的には不動産に関する法律です。その他にも、先ほど話しました税金や、不動産の広告について、不動産に関する統計というのも出ます。あるいは、土地や建物についての基本的なことも問われます。不動産に関連することは何でも問われる感じですが、これらは数が少ないので、多くは法律の問題です。具体的に見て行きましょう。
【問1】 | 権利関係 | 【問26】 | 宅建業法 |
【問2】 | 【問27】 | ||
【問3】 | 【問28】 | ||
【問4】 | 【問29】 | ||
【問5】 | 【問30】 | ||
【問6】 | 【問31】 | ||
【問7】 | 【問32】 | ||
【問8】 | 【問33】 | ||
【問9】 | 【問34】 | ||
【問10】 | 【問35】 | ||
【問11】 | 【問36】 | ||
【問12】 | 【問37】 | ||
【問13】 | 【問38】 | ||
【問14】 | 【問39】 | ||
【問15】 | 法令上の制限 | 【問40】 | |
【問16】 | 【問41】 | ||
【問17】 | 【問42】 | ||
【問18】 | 【問43】 | ||
【問19】 | 【問44】 | ||
【問20】 | 【問45】 | ||
【問21】 | 【問46】 | ※統計 | |
【問22】 | 【問47】 | ※住宅金融支援機構 | |
【問23】 | 税金 | 【問48】 | ※景品表示法 |
【問24】 | 【問49】 | ※土地 | |
【問25】 | 不動産の価格 | 【問50】 | ※建物 |
※問46~問50は5問免除科目です。5問の出題順は異なることがあります。
① 権利関係
これは、民法を中心とした科目です。民法というのは、この宅建物語の民法のところでもう少し丁寧に説明しますが、売買や賃貸借などについてだと思っておいて下さい。売買契約などに伴って、当事者にどのような権利関係が生じるのか、という科目ですから、「権利関係」といいます。
民法以外にも借地借家法や区分所有法(マンション法)、不動産登記法などもちょっと出てきます。全体で、14問出題されます。
この権利関係は、おそらく宅建の中でも、最も難しい科目で、簡単な問題を確実に拾っていって下さい。テキストの記述がそのまま出題されるのではなく、事例形式で出題される問題がほとんどであるという点でも、手ごわいでしょう。
② 宅建業法
「宅建」試験ですから、何といってもこの宅建業法が試験の出題の中心です。問題数では、20問。50問中20問ですから、4割の出題比率で、半数近くを占めます。合否を握る科目といって差し支えないと思います。
具体的に宅建業法というのは、どういう科目かというと、宅建業者を規制する法律です。宅建業というのは、正確には不動産業とは異なります。その正確な意味については宅建業法で具体的に勉強するとして、現段階では大雑把に不動産業者を規制する法律だと考えてもらっていいでしょう。不動産業者を規制して、消費者を守るわけです。
宅建業法は、合否を握る科目と書きましたが、ただ勉強する方としては、比較的勉強しやすいです。したがって、この範囲は、ある程度できるのは、当然ですが、「ある程度」点数を取れるだけでは、合格には届かないと思って下さい。15%の人しか合格しないわけですから。ただ、しっかり学習すれば、年度によっては、満点も夢ではありません。さすがに問題数が多いので、満点という方は少ないようですが、18~19点取る人はいます。というのは、宅建業法の範囲というのは、ほとんど出題されつくされている感があるからです。ほとんどの問題は、「過去問」の焼き直しです。
実は宅建業法は、以前は16問でした。この16問時代でも、私が教えてきた受講生で、宅建業法を1~2問程度しか間違えていない人で、不合格になったという人はほとんどいません。まして、今は20問です。宅建業法の重要性が分かると思います。したがって、何点取れるかではなく、何点「落とすか」の勝負だと思って下さい。
③ 法令上の制限
次は、法令上の制限ですが、これはちょっと分かりにくいでしょう。もともと不動産(土地と建物)というのは、いろいろな財産の中でも一番制約の多い財産です。たとえば、土地を所有している人は、その土地は自分のものですから、普通に考えれば自由に使ってよいように思えます。したがって、その土地にどのような建物を建てるのも自由なはずです。しかし、住宅地のど真ん中に、工場を建てるのは、住環境の点で大問題です。そこで、都市計画法や建築基準法などによって、住宅地の真ん中にそのような建物は立てられないようになっています。つまり、不動産というのは、それを利用するのに様々な「法令」で「制限」されているわけです。それで、「法令上の制限」というわけです。
具体的に法令上の制限で勉強する法律は、先ほど例として挙げました都市計画法と建築基準法が一番よく出題されます。建物を建てたり、土地を造成したりするときにかかってくる法律です。
法令上の制限は、ちょっと問題数が少なくて8問です。
この科目は、非常に暗記的な要素が強くなります。ただ、この科目は学習を始めると、~地域、~区域などがいろいろ出てきますので、イメージが湧きにくいという方が多くおられますが、そのあたりはこれからの「宅建物語」で説明しますが、要領よくまとめて、シンプルに覚えるということで十分ですので、おそれる必要はありません。
④ 税その他
この範囲は、簡単に言えば、「不動産に関してその他もろもろ」という範囲です。よく言えばバラエティに富んでいる。悪く言えば、いろいろな範囲があって煩わしいと感じる人も多い範囲です。
具体的には、税金、不動産の値段の出し方、地価公示、広告等、住宅金融支援機構法、統計、土地、建物と様々です。全部で8問出題されます。
このような範囲なので、実は受験生は全体的に学習が手薄になりがちなところです。しかし、そこにチャンスがあります。範囲の広い部分というのは、その内容を「深く」掘り下げるということは不可能ですし、出題者もそれは分かっているので、それほど受験生に多くを望んでいません。したがって、実は出題される内容というのは、ある程度決まっています。つまり、広く、浅くという範囲なんです。考えようによっては、権利関係等は、法律の問題で難しい問題はいくらでもありますので、1点でも多く取るために結構な勉強時間が必要です。しかし、広く浅く勉強する範囲は、ポイントを絞って学習すれば、2~3点の上積みは非常に容易です。
したがって、この範囲で一番重要なのは、嫌がらずに普通に勉強するということです。これで、通常の受験生より有利になれるわけです。
5.勉強方法
最後に、この宅建の勉強方法については、人それぞれ意見があると思います。しかし、ほとんどの人が共通して言うことは、「過去問」の重要性です。
今まで説明してきましたように、宅建試験の範囲は非常に広いものです。ちょっと考えれば分かりますが、「不動産に関する法律を中心とした内容」というのは、非常に奥が深く難しいものです。そんな奥の深い内容の全部の範囲を細かく勉強することは不可能です。民法一つをとってみても、民法の条文は1044条あります。それを全部勉強することは不可能とは言わないまでも、事実上困難です。
それにもかかわらず、毎年15%くらいの人は合格するということは、出題される範囲が決まっているからです。その出題される範囲というのは、「過去に現に出題された範囲」=過去問ということです。これが繰り返し繰り返し出題されるわけです。
逆の表現で言うと、事実上過去問の範囲くらいまでしか、受験生の立場からいうと勉強できないわけです。その過去問の範囲をどれだけ確実にマスターしたかどうかで合否が決まります。
もちろん、毎年今までに出題されたことのない初出題の問題は出ます。しかし、そのような問題は正解を出せなくても、「合格点」には届きます。そのような難しい問題に引きずられることなく、過去問の範囲をいかに確実に正解するかが合否のポイントになります。
ということで、意外に長引いてしまいましたが、宅建試験のガイダンス的な話は、これで終わりで、次からは、実際の宅建試験の内容について、権利関係から「語っていく」ことにします。