下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 令和4年 問19

【動画解説】法律 辻説法

【問 19】 宅地造成等規制法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問において「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び施行時特例市にあってはその長をいうものとする。

1 宅地造成工事規制区域内において、雨水その他の地表水又は地下水を排除するための排水施設の除却工事を行おうとする場合は、一定の場合を除き、都道府県知事への届出が必要となる。

2 宅地造成工事規制区域内において、森林を宅地にするために行う切土であって、高さ3mの崖を生ずることとなるものに関する工事については、造成主は、都市計画法第29条第1項又は第2項の許可を受けて行われる当該許可の内容に適合した工事を除き、工事に着手する前に、都道府県知事の許可を受けなければならない。

3 宅地造成工事規制区域内で過去に宅地造成に関する工事が行われ、現在は造成主とは異なる者がその工事が行われた宅地を所有している場合において、当該宅地の所有者は宅地造成に伴う災害が生じないよう、その宅地を常時安全な状態に維持するよう努めなければならない。

4 宅地造成工事規制区域外に盛土によって造成された一団の造成宅地の区域において、造成された盛土の高さが5m未満の場合は、都道府県知事は、当該区域を造成宅地防災区域として指定することができない。

【解答及び解説】

【問 19】 正解 4

1 正しい。宅地造成工事規制区域内の宅地において、雨水その他の地表水又は地下水を排除するための排水施設又は地滑り抑止ぐい等の全部又は一部の除却の工事を行おうとする者は、その工事に着手する日の14日前までに、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
*宅地造成等規制法15条2項

2 正しい。宅地造成工事規制区域内において、宅地以外の土地を宅地にするために行う切土であって、切土をした土地の部分に高さが2mを超える崖を生ずることとなるものに関する工事については、造成主は、当該工事に着手する前に、都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、都市計画法第29条第1項又は第2項の許可を受けて行われる当該許可の内容に適合した宅地造成に関する工事については、この限りでない。
*宅地造成等規制法施行令3条1号

3 正しい。宅地造成工事規制区域内の宅地の「所有者」、管理者又は占有者は、宅地造成に伴う災害が生じないよう、その宅地を常時安全な状態に維持するように努めなければならない。したがって、現在の宅地の所有者は、過去の宅地造成工事の造成主とは異なっていても、宅地の保全義務を負う。
*宅地造成等規制法16条1項

4 誤り。都道府県知事は、宅地造成に伴う災害で相当数の居住者その他の者に危害を生ずるものの発生のおそれが大きい一団の造成宅地の区域であって「政令で定める基準」に該当するものを、造成宅地防災区域として指定することができる。この「政令で定める基準」の中には、「盛土の高さが5m以上であるもの」というのがあるが、それ以外にもいくつか基準があり、盛土の高さが5m未満の場合でも、造成宅地防災区域を指定することができる場合がある。
*宅地造成等規制法施行令19条


【解法のポイント】この問題は、宅地造成等規制法の問題としては、普通のものだと思いますが、正解肢の肢4は、非常に細かい条文です。ただ、平成28年 問20 肢1にも出題がありますので、毎度のことですが、過去問は重要です。出題者は「安心して」出題していると思いますよ。