下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 令和4年 問9

【動画解説】法律 辻説法

【問 9】 辞任に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

ア 委任によって代理権を授与された者は、報酬を受ける約束をしている場合であっても、いつでも委任契約を解除して代理権を消滅させて、代理人を辞することができる。

イ 親権者は、やむを得ない事由があるときは、法務局に届出を行うことによって、親権を辞することができる。

ウ 後見人は、正当な事由があるときは、後見監督人の許可を得て、その任務を辞することができる。

エ 遣言執行者は、正当な事由があるときは、相続人の許可を得て、その任務を辞することができる。

1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ

【解答及び解説】

【問 9】 正解 1

ア 正しい。委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。したがって、受任者は、いつでも委任契約を解除して代理権を消滅させて、代理人を辞することができる。これは受任者が報酬を受ける約束をしている場合でも同様である。
*民法651条1項

イ 誤り。親権を行う父又は母は、やむを得ない事由があるときは、「家庭裁判所の許可」を得て、親権又は管理権を辞することができる。法務局に届出を行うだけでは辞任できない。
*民法837条1項

ウ 誤り。後見人は、正当な事由があるときは、「家庭裁判所の許可」を得て、その任務を辞することができる。「後見監督人の許可」ではない。
*民法844条

エ 誤り。遺言執行者は、正当な事由があるときは、「家庭裁判所の許可」を得て、その任務を辞することができる。「相続人の許可」では辞任できない。
*民法1019条2項

以上より、正しいものはアのみであり、肢1が正解となる。


【解法のポイント】この問題も難しかったと思います。アを除いて、この問題を「知識」として知っていた人は、ほとんどいなかったと思います。問題文のような人の許可や届出だけでは、辞任できないというのは、何となく分かるといえば分かりますが…