下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 令和4年 問3

【動画解説】法律 辻説法

【問 3】 制限行為能力者に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 成年後見人は、後見監督人がいる場合には、後見監督人の同意を得なければ、成年被後見人の法律行為を取り消すことができない。

2 相続の放棄は相手方のない単独行為であるから、成年後見人が成年被後見人に代わってこれを行っても、利益相反行為となることはない。

3 成年後見人は成年被後見人の法定代理人である一方、保佐人は被保佐人の行為に対する同意権と取消権を有するが、代理権が付与されることはない。

4 令和4年4月1日からは、成年年齢が18歳となったため、18歳の者は、年齢を理由とする後見人の欠格事由に該当しない。

【解答及び解説】

【問 3】 正解 4

1 誤り。後見人が、被後見人に「代わって」営業若しくは一定の重要な行為(保佐人の同意を要する行為)をするには、後見監督人があるときは、その同意を得なければならない。これらに該当しない後見人の取消権の行使には、後見監督人の同意は不要である。
*民法864条

2 誤り。後見人と被後見人との利益が相反する行為については、後見人は、被後見人のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。そして、相続の放棄は相手方のない単独行為であるという点は正しいが、共同相続人の一部の相続放棄は、他の者の相続分を増加させることになるので、利益相反行為となることもありうる。
*民法860条

3 誤り。家庭裁判所は、一定の者の請求によって、被保佐人のために特定の法律行為について保佐人に代理権を付与する旨の審判をすることができる。
*民法876条の4第1項

4 正しい。未成年者は、後見人となることができない。そして、年齢18歳をもって、成年とされているので、18歳の者は、年齢を理由とする後見人の欠格事由に該当せず、後見人となることができる。
*民法847条1号



【解法のテクニック】この問題は、全肢、初出題です。全部民法の「親族」の中に規定されているもので、本当に内容が分かって解答できた人はほとんどいなかったかと思います。ただ、肢4について、後見人の欠格事由自体を覚えている人はいなかったかもしれませんが、問題文から考えて、どうも未成年者というのは、後見人の欠格事由に該当するようだ→そして、成年年齢が18歳になったので、「これが答えではないか!」と考えて、これを正解にした人は結構いたのではないかと思います。こういう初出題の問題は、「それでいいです」。知識として知らない問題は、間違えても仕方がありません。ただ、今まで勉強した知識と、常識で柔軟に対応することが試験現場では重要です。