下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 令和3年(12月試験) 問30

【動画解説】法律 辻説法

【問 30】 宅地建物取引業者Aがその業務に関して行う広告に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。

1 Aは、中古の建物の売買において、当該建物の所有者から媒介の依頼を受け、取引態様の別を明示せずに広告を掲載したものの、広告を見た者からの問合せはなく、契約成立には至らなかった場合には、当該広告は法第34条の規定に違反するものではない。

2 Aは、自ら売主として、建築基準法第6条第1項の確認の申請中である新築の分譲マンションについて「建築確認申請済」と明示した上で広告を行った。当該広告は、建築確認を終えたものと誤認させるものではないため、法第33条の規定に違反するものではない。

3 Aは、顧客を集めるために売る意思のない条件の良い物件を広告し、実際は他の物件を販売しようとしたが注文がなく、売買が成立しなかった場合であっても、監督処分の対象となる。

4 Aは、免許を受けた都道府県知事から宅地建物取引業の免許の取消しを受けたものの、当該免許の取消し前に建物の売買の広告をしていた場合、当該建物の売買契約を締結する目的の範囲内においては、なお宅地建物取引業者とみなされる。

【解答及び解説】

【問 30】 正解 3

1 誤り。宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買、交換又は貸借に関する広告をするときは、取引態様の別を明示しなければならない。したがって、取引態様を明示しなかった段階で宅建業法に違反し、広告を見た者からの問合せはなく、契約成立には至らなかった場合でもそれは変わらない。
*宅建業法34条1項

2 誤り。宅地建物取引業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に関し必要とされる建築確認等の処分があった後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物の売買その他の業務に関する広告をしてはならない。したがって、当該広告が、建築確認を終えたものと誤認させるものではないとしても、建築確認がない以上、広告の開始時期の制限の規定に違反する。
*宅建業法33条

3 正しい。取引する意思のない物件の広告をおとり広告というが、これは著しく事実に相違する表示であり、誇大広告の禁止の規定に違反する。これは、注文がなく、売買が成立しなかった場合でも同様であり、宅建業法に違反し、監督処分の対象となる。
*宅建業法32条

4 誤り。宅地建物取引業者が免許を取り消されたときは、当該宅地建物取引業者であった者は、当該宅地建物取引業者が「締結した契約」に基づく取引を結了する目的の範囲内においては、なお宅地建物取引業者とみなされる。しかし、問題文のように、免許が取り消された後に新規の契約を締結する場合は、宅地建物取引業者とみなされない。
*宅建業法76条


【解法のポイント】この問題も、難しくなかったと思います。