下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 令和3年(12月試験) 問27

【動画解説】法律 辻説法

【問 27】 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではないBとの間で建物の売買契約を締結する場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 AB間で建物の売買契約を締結する場合において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額についての特約を、代金の額の10分の2を超えて定めた場合、当該特約は全体として無効となる。

2 AB間で建築工事完了前の建物の売買契約を締結する場合において、AがBから保全措置が必要となる額の手付金を受領する場合、Aは、事前に、国土交通大臣が指定する指定保管機関と手付金等寄託契約を締結し、かつ、当該契約を証する書面を買主に交付した後でなければ、Bからその手付金を受領することができない。

3 AB間で建物の売買契約を締結する場合において、Aは、あらかじめBの承諾を書面で得た場合に限り、売買代金の額の10分の2を超える額の手付を受領することができる。

4 AB間で建築工事完了前の建物の売買契約を締結する場合において、売買代金の10分の2の額を手付金として定めた場合、Aが手付金の保全措置を講じていないときは、Bは手付金の支払を拒否することができる。

【解答及び解説】

【問 27】 正解 4

1 誤り。宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定めるときは、これらを合算した額が代金の額の10分の2を超えることとなる定めをしてはならない。この規定に反する特約は、代金の額の10分の2を「超える部分」について、無効とする。したがって、10分の2までは有効であり、特約全体が無効となるわけではない。
*宅建業法38条2項

2 誤り。完成物件とは異なり、未完成物件については、「指定保管機関と手付金等寄託契約を締結」するという方法による手付金等の保全措置は認められていない。
*宅建業法41条1項参照

3 誤り。宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して、代金の額の10分の2を超える額の手付を受領することができない。これは、あらかじめ買主の承諾を書面で得た場合であっても同様である。
*宅建業法39条1項

4 正しい。宅地建物取引業者が、自ら売主となる宅地又は建物の売買を行う場合において、手付金等の保全措置が必要であるにもかかわらず、その措置を講じないときは、買主は、手付金等を支払わないことができる。
*宅建業法41条4項


【解法のポイント】この問題は、基本的なものだと思います。肢2の完成物件と未完成物件の違いについては注意して下さい。