下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 令和3年(12月試験) 問6

【動画解説】法律 辻説法

【問 6】 不動産に関する物権変動の対抗要件に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 不動産の所有権がAからB、BからC、CからDと転々譲渡された場合、Aは、Dと対抗関係にある第三者に該当する。

2 土地の賃借人として当該土地上に登記ある建物を所有する者は、当該土地の所有権を新たに取得した者と対抗関係にある第三者に該当する。

3 第三者のなした登記後に時効が完成して不動産の所有権を取得した者は、当該第三者に対して、登記を備えなくても、時効取得をもって対抗することができる。

4 共同相続財産につき、相続人の一人から相続財産に属する不動産につき所有権の全部の譲渡を受けて移転登記を備えた第三者に対して、他の共同相続人は、自己の持分を登記なくして対抗することができる。

【解答及び解説】

【問 6】 正解 1

1 誤り。不動産に関する物権の得喪及び変更は、その登記をしなければ、「第三者」に対抗することができない。そして、この「第三者」とは、当事者及びその包括承継人以外の者を指すので、Dの前々所有者のさらに前の所有者であるAは第三者に該当しない。
*民法177条

2 正しい。土地賃借人と土地の所有権を取得した者は、土地の使用収益権について相容れない関係にあり、土地賃借人は、土地の新所有者と対抗関係にある第三者に該当する。
*民法177条

3 正しい。本肢の「第三者」は、時効完成前の第三者であり、時効により不動産の所有権を取得した者は、時効完成前の第三者とは対抗関係になく、当該第三者に対して、登記を備えなくても、時効取得をもって対抗することができる。
*民法177条

4 正しい。共同相続人の一人から不動産の全部を譲り受けた第三者は、登記を備えていたとしても、その登記は他の共同相続人の持分については無権利の登記であり、他の共同相続人は、自己の持分を登記なくして対抗することができる
*民法177条


【解法のポイント】この問題は、肢1以外は、登場人物はA、B…の表記ではなく、状況を説明した文章のみによる表現だったので、読みにくかったかもしれませんが、内容的には過去問に何度も出題されているもので、基本的な内容でした。